携帯電話・スマートフォン(以下スマホ)を所持する子どもたちが増える中で、ツイッターやLINE(ライン)などSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を通じたコミュニケーションのトラブルが社会問題になっている。小田原市内の中学生、保護者、教育現場を取材した。
小田原市教育委員会の調査によると、学区ごとに差はあるものの市立中学校では全体の7割以上の生徒が携帯電話・スマホを所持している。SNSは家族や友達といつでも連絡がとり合える有益性がある一方、「人が嫌がる言葉をLINE(ライン)にのせる」「画像を無断で配信してしまう」などのトラブルも絶えない。小田原警察署生活安全課によると、中学生がSNSで知り合った相手から裸の画像を強要される事件も管内で年に数件起きているという。「写真は一度ネットに上がると回収不可能。ネットの怖さは親も含めてしっかりと理解してほしい」と同課では注意を呼びかける。
中学校の生徒指導でも、SNSのトラブルが近年大きな割合を占めている。そこで、いじめや犯罪から子どもたちを守るために、通信会社や警察、スクールサポーターを学校に招いてスマホの安全な使い方の指導にも力を入れている。
城山中学校で7月4日に行われたスマホ教室には全校生徒と保護者が参加した。生徒からは「LINE(ライン)は表情や声の調子がわからないから、気持ちのすれ違いが起きてしまうことを知り、怖くなった」「写真には多くの情報が入っていることが分かった。少しでも迷うものはSNSに投稿しない」などの感想が寄せられた。西村泰和校長は「現代の子どもたちにとって、スマホはこの先必需品になる。価値を理解した上で使いこなしてほしい」と話す。同校PTAの小澤澄生会長は「子どもたちは新しい機能をどんどん使いこなす。フィルタリングやロック機能など、持たせる以上は親も勉強しないといけない」と話す。
市PTA連絡協議会の中学校部会は昨年度末に指針「ネット・スマホの約束」を作成。友達と保護者と約束を作り守ること、子どもと作った約束は保護者も守ることとし、そのほか学校ごとに「夜遅くと食事中はさわらない」(白鷗中)「大事なことは会ってから伝えよう」(白山中)など細則も設けられている。内田晋一部会長は「親の意識が大事。与えるだけでなく親もルールを守り、管理することが大切」と話している。