旭丘高校相撲部が、10月28日に群馬県で行われた「第12回関東高等学校選抜相撲大会」団体戦で3位に入った。
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試合前、全員が蹲踞(そんきょ)の姿勢で気を静め、土俵にあがる際は、背中を思い切り叩いて送り出す。静まる場内でも「大丈夫、落ち着いていけ」と大声が飛ぶ。全国屈指の先輩が抜けても、チームで補い合う全員相撲の伝統はこの日も健在だった。
先鋒の勝敗が全体の流れを大きく左右する3人制。「力みすぎた」という奥知久君(1年)が、いきなり予選1回戦で星を落とした。「緊張と相手を甘くみていたかもしれない自分の弱さ」。中堅ムンクジャルガル君(1年)、大将野地嵩良君(2年)が白星を重ね、予選を勝ち抜いたが、奥君は下を向いたままだった。
個人戦を挟んだ決勝トーナメントまでの時間を、仲間に声援を送ることに徹したという奥君。汗をかき、背中を叩くうちに「自然と気持ちが入った」。決勝Tでは、昨年に並ぶベスト4をかけた黒羽高(栃木)戦で、2度の取り直しでも集中を切らさず、先勝。流れを一気に引き寄せた。続く拓大紅陵高(千葉)戦は大将戦の末に惜敗したが、新チームでつかんだ価値ある銅メダルだ。
怪我をおして初めての大舞台にあがったムンク君は「幸せです」と習得中の日本語で振り返った。控えのオチルサイハン君(1年)と共に言葉の壁も徐々になくなり、コミュニケーションが生まれた事でチーム力は高まっている。
だが「あと一つ上へ行けた」と野地君が冷静に話すように、頂点に昇りつめるにはまだ足りない。岸田光弘監督のいう「厳しさ。何がなんでも勝つという気持ちの強さ」を新チームは持つことができるか。足らざるものを見つめる大会となった。