天皇陛下が年の始めにお催しになる「歌会始」。「光」を題にした2019年は、全国から2万2000通を超える詠進があり、10の選歌につぐ佳作13作品に、市内中村原在住の安見濶さん(79)が詠んだ歌が選ばれた。23作品のうち、神奈川県内からは唯一の選出。
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『津波より七年の津に言伝つの 葉を流すたび水は光りぬ』。東日本大震災から7年、テレビで放映されていた3・11の追悼儀式から着想を得て詠んだ一句だ。「この日はお天気が良くてね。キラキラとした波打ち際に葉っぱが流れていくさまがとても印象的だった」とすぐさま筆を走らせた。
詠進は、一枚の半紙に直筆でしたためなければならない決まりがあり、コピーした文字を何度もなぞり練習を重ねた。「綺麗な字の方が良いだろうと思って」とはにかむ。
昨年12月に入り佳作の第一報を受けた際、天皇皇后両陛下への拝謁が真っ先に思い浮かんだ。「えらいことになったぞ」と胸が高鳴ったが、宮内に参入できるのは選歌の10人のみで「少しほっとしました」。妻や仲間内で入選を喜び合った。
もともと自由詩を書くことが好きで、文芸誌などにも投稿していたという安見さん。短歌は60歳の頃から本格的に始めた。散歩や旅行先などで見たもの、感じたことを詠む。寝室にメモを置き、寝る前に整理するスタイルだが「自由気ままに」ノルマは設けない。文化活動と並行して、合気道や気功といった心身の鍛練に励む。スクワットや腕立てなどを日課で取り組み「短歌も鍛えることも継続が大切。これからも続けていきます」と笑った。
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