初の総合優勝。その大きな原動力は、間違いなくエース高島咲季(3年)さんだ。
大会初日・400mに登場すると予選から3本を走り、決勝では自己ベストに肉薄する53秒44で連覇を果たした。6月の日本選手権では同種目2位に入る実力者。「今回は絶対負けられない」と重圧を感じながら臨んだレースだったが、貫録漂う力強さで「いつも通り走れたのがよかった」と再び女王の座についた。
スピード強化のために取り組む200mでも自己ベストを0秒48更新する23秒76で2位。「200mはいつも2位。全国で1番を取りたかった」というが、出場した個人種目全てでメダルを獲得し、高校陸上生活の集大成を見せつけた。
走りきった逆転劇
そして迎えた最終種目・花形のマイルリレーは連覇のかかる種目だ。1走川崎夏実さん(3年)、2走金子さんが首位でつなぐとIH初出場の岩本真菜さん(3年)へ。専門は100mだったが結果が出ず昨年は付き添いだった岩本さん。今春400mを始めるとみるみる才能を開花させ、メンバーに抜擢された。「1年前は想像出来なかったが最後の最後でこの舞台に立てた」。順位を一つ下げるも懸命に食らいつき、4走・高島さんへと望みをつないだ。
今大会12本目のレースとなる高島さんは「何番でもらっても絶対1位になってやる」。400mの女王に相応しい走りで逆転、チームを頂点へと導いた。
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高島さんを軸に、3年生が一丸となりチームをまとめてきた今季の相洋。共にマイルを走った高島・川崎・金子の3選手は、学校は違えど中学時代から200mのタイムで同等記録を持ち、凌ぎを削ってきたライバルだった。高島さんが姉の背中を追って相洋へ入学を決めると、それを聞いた金子さんが川崎さんも誘い、揃って同門を叩いた。
あれから3年。個人の走力はもちろん、バトンパスにも磨きをかけ、信頼を重ねた。メンバー入りを果たせなかった部員も含め皆が「このチームで良かった」と声を弾ませる。どのチームより強く結ばれた絆で掴んだ「日本一」だ。