今年の東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)で9区を走った専修大学4年の辻海里さんが最初で最後の大舞台を振り返った。
辻さんは小田原市酒匂出身。小学生の頃から家族と沿道で箱根駅伝を応援してきた。「選手を見て、かっこいいと思っていました」と、当時は憧れだったという。中学で陸上競技部に入り、長距離ランナーとして実力をつけた。相洋高校2年の時、市町村対抗かながわ駅伝競走大会に小田原市代表に選ばれ、以降5回出場してきた。
箱根駅伝の舞台に
大学に入り「箱根駅伝の予選会での先輩の走る姿を見て、意識するようになった」と出場を目標に。練習は早朝と夕方、1日約25Kmの走り込みなどを4年間継続。大会で自分の力を100%発揮するには「自分に負けないこと」と考え、甘えに負けず苦しい練習を確実にこなしてきた。地道な積み重ねが必ず結果につながることを信じて。
チームは、昨年行われた箱根駅伝の予選会を10位で突破し、7年ぶりに本選出場を果たした。12月29日、期待と緊張が入り混じるエントリー発表の時、監督から9区を託され「嬉しかったと同時に、万全の体勢で大会に臨まなくてはいけないと自分に言い聞かせた」と、夢の舞台への出場を手にした瞬間から気を引き締めた。
大会当日、アップの最中も緊張はなく、いつもと変わらない心境だったというが、チームメートからたすきを受け取った瞬間、箱根駅伝の実感が湧いたという。戸塚中継所から鶴見中継所の9区は23・1Kmと比較的距離の長い区間。「スタートから権太坂付近までペースをつかめず、上手く走れなかった。その後は自分の走りができた」。悔いは残りながらも、念願の大舞台に出場した満足感は大きい。チームは目標としていた総合15位以内には入れなかったが「この経験を来年に生かしてほしい」と、果たせなかった目標を後輩に託した。
春から社会人として歩むことが決まっている。選手としては一旦区切りを付けるそうだが「走ることは得意なので続けていく」と前を向く。