小田原市立鴨宮中学校(田中修校長)は2021年度から、女子生徒の制服としてスラックスを選択できるようにした。性の多様性への理解を主な理由とし、スラックスの採用は、市内公立中学校では18年度から導入した千代中学校に次いで2校目となる。
鴨宮中学校では、女子生徒から「小学校の時からズボンを履いていたので、スカートを履くことに対して抵抗がある」などの声が以前からあったことを受けて、昨年4月に管理職員や生徒指導部の職員、学年主任12人で構成する制服検討委員会を設置した。制服業者などからの聞き取り調査で、生まれながらの性別にとらわれない性別のあり方が見直されていることを背景に、神奈川県内でもスラックスを選択できる学校が増えていることを知り、導入を決めたという。女子生徒用のスラックスは、スカートと同じ生地を採用し、価格差もほぼない。
今年1月の新入生説明会で、スラックスが選択可能となったことを保護者に伝えたが、反対意見は特になかったという。在校生に向けては、今後案内書を配布し、今年度中に周知する予定だという。
北川誠教頭は「性のことで教育に支障が出てしまうのはよくない。スラックスを誰でも履けることで、登校支援にもつながれば。できることからやっていきたい」と話した。試着した女子生徒は「スカートより軽くて動きやすい。防寒や防犯としても気軽に履ける」と感想を語った。
近隣市の公立中学校では、鶴巻中学校(秦野市)や大洋中学校(平塚市)などがスラックスを採用している。なお、箱根町、湯河原町、真鶴町では現時点で採用事例はない。
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