太陽光発電の自家消費量に付加価値を持たせ、地域活用を促す試みが小田原市で始まった。再生可能エネルギーが生み出す二酸化炭素(CO2)排出削減効果をクーポンに変えて市内循環させることで、地域活性と脱炭素化社会促進を公民連携で進める取り組みだ。
小田原市と連携して取り組みを行うのは、湘南電力(株)と(株)エナリス、(株)ゼロボード。太陽光発電で創出された再生可能エネルギー(再エネ)の消費をCO2削減効果と見立て、消費量に応じてクーポンを発行し、市内の協力店でさまざまなサービスと交換できる独自の仕組みを構築する。
対象は、初期費用無料で太陽光発電システムを設置する湘南電力の「0円ソーラー」設置世帯。自家消費した電力100kWh(キロワット時)に対し、クーポン1枚が提供される。エナリス社は再エネ消費分を国認証の「J-クレジット」に変換し、クーポン分の資金を提供。ゼロボード社は協力店の消費電力について詳細なデータを各店に提供し、CO2排出削減の意識向上を図る。
市と3社は9月27日、市役所で取り組みに関する協定を締結。守屋輝彦市長と湘南電力の原正樹代表取締役社長、エナリスの都築実宏代表取締役社長、ゼロボードの渡慶次道隆代表取締役社長が調印を行った。9月の電力使用量からクーポンの発行が行われる。
再エネ普及 規模拡大も
小田原市は2019年、脱炭素化社会を見据えた取り組みとして「2050年までにCO2排出量実質ゼロ」を目指すと表明。今年3月に公表した2030年までのロードマップでは「市内建物のうち設置可能な屋根の3分の1程度に太陽光発電設備が導入されている」との将来像を発表した。市は今回の取り組みを再エネ推進の一策として期待している。
現在0円ソーラーを設置しているのは約150世帯(市内約50世帯)、協力店は8店舗。湘南電力の関係者は「今年度は事業を進めながら課題などを抽出したい。設置世帯と協力店のスケール拡大も視野に入れながら再エネの普及を進めていきたい」と話している。
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