小田急箱根ホールディングス(株)(小田原市)は10月1日から、複数の交通機関を一つの券で利用できるデジタルチケットを箱根の観光情報サイト「箱根ナビ」で販売している。これは、運営主体の垣根を越え、あらゆる交通手段を統合し一つのサービスとして提供することをテーマとする新しい移動の概念「MaaS(Mobility as a Service)」の取り組み。予約や決済を一元化したパッケージを利用者に提供し、観光型MaaSの推進を図る。
デジタルチケットは、アプリなどのダウンロード不要で、ブラウザ上で購入可能。スマートフォンの画面を表示して利用する。12月までに、全13種類のデジタルチケットが順次登場する。
「芦ノ湖きっぷ」では箱根登山電車や箱根登山バスなどが、「大涌谷きっぷ」では箱根登山ケーブルカーや箱根ロープウェイなどの一部区間で、2日間乗り降り自由になる。コロナ禍で密を避け、車で訪れる観光客に向けた「箱根のりものパス Lite」では「乗り物をアトラクション的に楽しめる。お客様の視点に立って使いやすい券を作った」と小田急の担当者は話す。同チケットは、ブラウザ上だけでなく窓口でも販売している。
「箱根ナビ」を一新
今回のデジタルチケット発売に合わせて「箱根ナビ」も大幅にリニューアルした。これまで箱根登山鉄道(株)、箱根登山バス(株)、箱根観光船(株)、箱根ロープウェイ(株)が独自に運営していたウェブサイトの情報を「箱根ナビ」に一元化。一つのウェブサイトに統合したことで、路線図や時刻表を同じサイト内で確認できるようになった。
12月には、箱根エリアの観光スポットや宿泊施設と連携し、全22施設が有効期間中に何度でも利用できるサブスクリプションサービス「箱根遊び放題チケット(はこチケ)」の発売を予定。
来年3月には「箱根ナビ」を多言語版にリニューアルし「インバウンド需要の回復を見据えた受け入れ環境の整備を行う」としている。