小田原市の新たな文化の拠点として昨年9月に開館した小田原三の丸ホール(正式名称・小田原市民ホール)。「市民に開かれたホール」を目指し、小田原の風土や歴史、文化を大切にしたブランディングを展開している。「ホールから発信するものは『この土地ならではの表現』を目指したい」と広報を担当する職員の飯田能理子さんは話す。
シンボルマークは、市内在住の書家・永井香峰さんの書をもとに、デザインこねこ株式会社(長嶺喜和代表・市内本町)がロゴデザイン、パンフレット、フラッグなどを制作している。同社は、地元の保育園やホテルなど、小田原を中心にブランディングデザインを手掛けている。ホール側は「小田原の風土を理解し、長く付き合っていける地元企業」として声を掛けたという。
ロゴには、芸術・歴史・新しいコミュニティの創造をコンセプトに、日本文化を象徴する「金」、情熱を表現した「金赤」、小田原市で象徴的に使用されている「ロイヤルブルー」がイメージカラーとして盛り込まれた。長嶺代表は「小田原を象徴するホールのブランディングに携われ、光栄」と話す。
統一感の中にも地域性
また、1年間にわたる開館記念事業のリーフレットのディレクションは、小田原市のアートイベントにも携わった経験がある静岡県三島市のデザイナー・住麻紀さんに依頼した。「客観的に小田原の魅力を伝えること」を目的に、あえて市外のデザイナーを起用したという。
クラシックコンサートから落語まで幅広い事業内容に統一感を持たせるため、リーフレットはフォーマットを保ちつつも、ホールの意向でメインビジュアルには地元のイラストレーターや画家を採用した。住さんは「どんなテイストの作品でも、引き立つデザインを心掛けた」と制作の思いを語る。
広報の飯田さんは「ロゴやリーフレットは多くの人の目に触れるもの。小田原を伝えるものになれば」と話した。
9月には開館1周年を記念し、リーフレットに使用された作品の展示も予定されている。