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公開日:2024.02.03

(株)コイワイ(小田原市)
「SLIM」の脚部品開発
月面着陸に3Dプリント技術

  • 脚部品の試作品を持つ小岩井さん

  • 2段階着陸のイメージ SLIM /垂直降下シーケンス(jp)( © JAXA)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した日本初の月面着陸実証機「SLIM」が1月20日未明、月面着陸に成功した。その着陸に重要な役割を果たしたSLIMの脚先の部品は、小田原市羽根尾の鋳造会社「株式会社 コイワイ」が開発したものだ。

 SLIMプロジェクトは、月面へのピンポイント着陸技術の実証と軽量な月惑星探査機システムの実現を目指すもの。着陸目標地点はクレーター近くの軽度な傾斜地で、安全に着陸することが重要なポイントとなっていた。計画は、主脚で一度接地してから機体を前方に回転させて静定する2段階着陸。それを実現させるため、JAXAは着陸時に衝撃を吸収する半球状の3Dプリンタ製金属ラティス(スポンジ状)構造体を採用した。

 コイワイでは2007年から3Dプリント技術を業界に先駆けて導入、「軽量かつ耐久性があり、高度なカスタマイズが可能な部品を製造する理想的な技術」という。宇宙分野でも実績があり、最先端の技術を持つ同社に2016年頃にJAXAから同プロジェクトへの協力依頼があり、日本積層造形株式会社らと着陸脚先端の衝撃吸収材の開発がスタートした。

 開発に携わった同社の小岩井修二さん(66)は、「うまくつぶれる、その具合を探し出すのが至難の技」と振り返る。コンピューターシミュレーションで2年。それをさらに2年かけて数百の試作を重ねた。

 小岩井さんは、相模原市にあるJAXA相模原キャンパスで、職員らと共に日本初の月面着陸という歴史的な快挙を迎えた。「着陸の瞬間、あまりにJAXAの職員が淡々としていたので成功したのか不安だった」と笑う。1時間後の記者会見で成功を知り、「JAXAから着陸(衝撃吸収)に関しては500点満点と評価してもらえた」と胸をなでおろしたという。すでに並行して、様々な宇宙開発への技術提供は進んでおり、同社は「今後も宇宙探査と科学分野他の技術の進化に貢献していく覚悟です」と話している。

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