小田原・箱根・湯河原・真鶴 文化
公開日:2025.06.28
山崎タイル店
解体で「小田原城」見納め
65年前のタイル画取り壊し
小田原市本町の御幸の浜交差点そばで解体が進む山崎タイル店の壁に、巨大な小田原城のタイル画が施されている。保存は難しいため建物と同時に取り壊される予定で、2代目の山崎博さん(71・南町在住)は「昔から観光客に写真を撮らせてほしいと頼まれることもあった。なくなるのは惜しいが仕方ない」と話す。
同店は戦後間もなく父の新太郎さんが創業。小田原市で2番目に古いタイル店として、箱根の旅館や一般家庭などのタイル工事を手掛けてきた。
小田原城のタイル画は、65年ほど前に火災で半焼した自宅兼店舗を再建した際、新太郎さんが記念に設置したという。学橋から天守閣を望む構図で、下絵は新太郎さんが描いた。タイルは日本有数の産地として知られる岐阜県多治見市から仕入れ、高さ約2・8m、幅約2・3mのタイル画を壁一面に施工した。
「15歳のころから仕事を手伝っていたから、(タイル画は)毎日のように目にしていた」と博さんは振り返る。18歳で家業に入り、22歳のときに新太郎さんが他界。若くして2代目に就いてからは、店のシンボルとして一層愛着がわいた。
解体が進む6月21日、博さんは現場に足を運んでなれ親しんだタイル画を目に焼き付けた。偶然通りかかった近隣住民から声を掛けられると、共に絵を眺めながら思い出話に花を咲かせた。博さんと顔なじみという女性は「昔から見ていたので、壊されてしまうのは本当に残念」と名残惜しそうにスマートフォンで写真を撮影していた。
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