小田原・箱根・湯河原・真鶴 社会
公開日:2025.11.22
病院から自宅へ― 11月23日在宅医療の日
変わる医療提供の現場
取材協力/間中病院(小田原市本町)
超高齢社会を迎え医療需要が拡大する中、国は医療の提供を病院から在宅へと転換する動きを進めている。国立長寿医療研究センターなどが定める11月23日の「在宅医療の日」を前に、間中病院訪問診療部の露木寛之部長に話を聞いた。
厚労省によると、2023年に在宅医療を受けた外来患者は1日当たり23万9千人で過去最多を記録した。高齢化で病床が逼迫(ひっぱく)する中、在宅医療の必要性は患者や家族だけでなく医療業界においても高まりを見せる。
同院は17年ごろに訪問診療部を設立。現在560人ほどの患者を抱えており、これだけの規模で訪問診療を行う病院は県内でも珍しいという。
一方で「在宅医療への認知不足も感じる」と露木部長は話し、「在宅で医療を受けたいと考える患者や家族と、自宅では難しいのではないかという先入観を抱く周囲とのギャップを埋めることが、在宅医療の推進には不可欠」と指摘する。
同院では、入院中から自宅での生活に向けた準備を患者や家族と進めている。例えば痰の吸引やおむつの交換方法などを指導し、「自宅ではこんなことが起きる」という心構えを共有。病院側も在宅による負担軽減に向け、服薬を朝1回にまとめたり注射を内服薬に変更したりと「入院中から頭を『おうちモード』に切り替えて」(露木部長)、退院後の生活を見越した対応を行う。
高度な医療機器などは使用できないが、通院負担がなく自宅での暮らしを念頭に置いた治療ができるのも在宅医療の利点だ。露木部長は「生活パターンに合わせて薬の種類を変えたり、家族構成や介護ができる、できないに合わせて治療方針を考えたりと、外来以上にオーダーメード化された医療の提供が可能になる」と利点を話す。
訪問診療部の設立以降、自宅での看取り件数も右肩上がりだ。24年には84人の患者を自宅で看取った。住み慣れた環境で家族に見守られながら最期を迎えたいという希望をかなえる在宅医療。露木部長は「医師会の中でも在宅医療を推進していこうという動きが広がっている。地域で在宅医療に携わるクリニック同士が課題を出し合い、議論する機会が深まれば」と期待を寄せた。
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