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小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記

公開日:2025.11.29

門松編物学院の学院長を務める
和田 一美さん
小田原市鴨宮在住 83歳

編む喜び これからも

 ○…JR東海道線の鴨宮駅のホームから見える「門松編物学院」。母が60年ほど前に開校した当時は茶道、華道、和裁なども教える花嫁修業の学校として地域に親しまれていた。「鴨宮の人はほとんど通っていたのよ」と、当時を懐かしむ。学院長を引き継ぎ、現在は機械編みや手編みの技術を教える編み物教室として遠方からも生徒が通う。「時代が変わっても、1本の糸から作品を仕上げていく喜びは変わらないから」と優しい笑顔を見せる。

 ○…鴨宮で生まれ育つ。編み物との出会いは小学4年生のころ。母が買った編み機がきっかけ。初めて自分で作ったカーディガンを着て登校すると、「みんなにほめられて。先生に編んでほしいと頼まれることもあった」。やがて自宅で教室を開いた母にならい、自身も20代で技能検定の資格を取得。学院となってからは教壇に立ち、以来50年以上技術を教え続けている。

 ○…平日は教室の講師として、週末は建物2階にある家族が守ってきた空手道場の経営を担う。多忙な日々を送るが、「仕事をしていたほうが体調がいいのよ。できれば死ぬまで教えていたいからね」。趣味は観世流の謡。「若いころから歌うのが好きだったから。思えばこれも母の勧めだったわ」。充実した日々が活動の原動力だ。

 ○…編み物の魅力を聞くと、「形にしていくこと」と迷わず答える。毛糸の種類や編み方、製図や色彩など、自身で考え工夫を凝らしていく過程がなによりの醍醐味だという。現在学院に通うのは20人ほど。近年の編み物ブームもあり、若者も増えたという。夢中で針や糸を動かす生徒たちへ「いくつになっても学ぶ気持ちは本当に素敵。生涯勉強ですからね」と温かいまなざしを向けた。

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