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小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記

公開日:2026.10.03

「木・技・匠」の祭典の実行委員長を務める 府川 寛さん 小田原市中町在住 45歳

  • 府川 寛さん (写真1)

木と人つなぐ 伝統の手仕事

 ○…小田原・箱根に伝わる木工の魅力を紹介する「木・技・匠」の祭典(10月10日・11日/小田原三の丸ホール)。今回は県内初開催となる11月の「KOUGEI EXPO」のプレイベントにも位置付けられ、「小田原漆器や箱根寄せ木細工、現代の木工品まで幅広く集まる。木製品に興味のある人は気軽に足を運んでほしい」と、伝統の木工産業をPRする好機と期待する。

 ○…大正期から続く家業の木工業を継ぐ気はなく、生き物好きが高じて大学の水産学部で学んだ。鮮魚関係の企業でサラリーマン生活を送っていた26歳の時、工房の職人が退職したことで家業に入ろうと決意。幼い頃から慣れ親しんだ木の香りと加工音が響く工房で、今も現役の父と母、妻の手も借りながら企業のOEM製作を主力に木工製品を手掛けている。

 ○…小田原・箱根では漆器や寄せ木細工の技法が確立され、職人の手で受け継がれてきた一方、現代の木製品離れには複雑な思いを抱く。2人の息子を育てる中、「今の段階では『跡を継げ』とは言えない。自分が経営の基盤を整えて、サラリーマンよりうちの方が面白いぞと胸を張って息子に言える状態にしないと」という言葉には、仕事の妙味だけでなく会社を背負って立つ苦労がにじむ。

 ○…納期に追われる中、何よりも心強いのは父親の存在。「夜中まで仕事を続けていると、『お前やってんのか』と70歳を超えているのに一緒に手伝ってくれる。口うるさいけれど、助かる」と感謝する。「武周(ぶしゅう)木工」という社名は、祖父の武雄さんが自身の名と周りの職人への感謝の思いを掛け合わせたもの。創業時から変わらないものづくりへのひたむきな姿勢は、自身にも脈々と息づいている。

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