小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記
公開日:2026.11.07
11月1日に最後の展覧会を開いた西さがみ文芸愛好会の代表を務める 戸田 博史さん 小田原市本町在住 77歳
言葉の力で時代をつなぐ
○…西さがみ地域で詩や短歌、エッセー、絵画、写真などの創作活動と交流を楽しむ同会。数年前、前代表から打診を受け、アニメの脚本家時代から貫いてきた「来た仕事は受ける」というモットーに従い、代表を引き受けた。会員作品の展覧会は、今年の第30回で一旦、幕を降ろす。11月1日の最終日も約30人の会員による100点ほどの作品が並び、多くの来場者でにぎわった。
○…東京都出身。幼い頃から空想が好きで、「小学生の時、通学バスの中で自作の物語を夢中で呟いて運転手に笑われたよ」とほほ笑む。高校時代に文学の道を志し、大学中退後、映画のシナリオコンテストを経てアニメーションの世界へ飛び込んだ。『北斗の拳』や『ドラゴンボールZ』など、今も世界中で愛される名作アニメの脚本を数多く手がけた。40歳を過ぎ、業界の世代交代を感じる中で「誰も知らない場所へ行こう」と、50歳の時に小田原へ移住し、同会と出会った。
○…携わった言葉が時を超えて生き続けていることも大きな喜びで、数年前の高校野球の決勝戦で、監督がドラゴンボールの「元気玉」をイメージした言動で球児にエールを送る姿を目にした。「言葉が誰かの心に届き、生き続けている」。時を経てもなお色あせることのないシーンに思いをはせる。
○…「何よりも書いて発表し、読んでもらうことがこの上なく楽しい」と、地域紙や会の機関紙に寄稿するエッセーでは、現実と空想を織り交ぜて独創的な世界観を描く。展覧会は最後となるが同会は存続する。「文学はその場で消滅するのではなく、細々とでも、どこかへつながっていく。伝わることで、やがて大きな力になる」。その実感が、今もペンを握る原動力となっている。
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