南足柄市と小田原市が「合併」と「中核市移行」で自治体の権能を強化し、県西地域の「広域連携」における中心市の役割を果たそうと、昨年10月に2市任意協議会を設置した。8月10日の第9回会議を経て協議が終了するため、本紙では、特別委員会を設置して協議事項などについて議論してきた南足柄市議会議員に初のアンケート調査を実施した。
調査は6月29日に議員16人全員に調査票を郵送し、期限を7月10日に設け記名形式で10の設問の回答を求めた。16人中、回答を寄せたのは11人。このうち1人は「慎重を期さねばならない」との理由から回答を留保する旨の返答を寄せた。5人は無回答だった。質問した内容は下記表を参照。
■問1
2市協議会の進捗に関する問いには、6人が「満足していない」と答え、「満足している」と回答した議員はいなかった。「事務局主導」「追認する形になっている」「合併ありき」など協議方法への不満が多いことが分かった。
■問2
合併する場合の自治体の組み合わせは、議員によって多様な見方や考えがあることが分かった。「県西2市8町」が5人、「足柄上1市5町」と「小田原市と南足柄市」が3人だった。他にも「小田原市と足柄上1市5町」「2市8町に秦野市と二宮町を加えた枠組み」「合併する必要はない」とするコメントもあった。
■問3
南足柄市が将来にわたり単独市で存続できると思うかの問いに4人が「存続できない」、3人が「どちらともいえない」、2人が「存続できる」と見解が分かれた。「人口減少」や「財政難」を懸念するコメントが多くあり、「職員と市民が主体的に行動すれば間違いなく元気な街になると確信する」との声もあった。
■問4
2市協議を通じた市長の政治姿勢への支持については、4人が「どちらともいえない」、2人が「支持できない」、1人が「支持する」とした。「リーダーシップ」を求めるコメントが多くあり、「市民の声を聴く手段を工夫してほしい」とする注文もあった。
■問5
合併に向けた法定協議に進むことには6人が「どちらともいえない」、4人が「行うべきではない」とし、「行うべき」とする回答はなかった。法定協議を行うかどうかは遠からず市長が判断し、「行う」と判断すれば関連議案が議会に提出され、議会が審議して決定する。制度上、住民発議や議員発議も可能なため、今後、最大の焦点となる。
■問6
市民への意向確認の方法については、8人が「住民投票」、「アンケート調査」「国勢調査と同様の調査」がそれぞれ3人だった。議会過半数にあたる8人が「住民投票」と答えたことから、意向確認の方法において住民投票が有力な選択肢の1つとなりそう。
■問7
2市協議が議題とする合併後の中核市移行については、5人が「移行するべきではない」、4人が「どちらともいえない」、「移行するべき」は1人だった。
■問8
2市協議の市民の認知度については、6人が「あまり認知されていない」、3人が「どちらともいえない」とした。「内容が正確に伝わっていない」「議論の中身があまり理解されていない」「全く知らない人もいる」とする声もあった。
■問9
次回2019年の市長選、市議会議員選挙で「合併の是非が争点になるか」の問いには8人が「争点になる」とした。「争点にならない」は2人。「19年では2市協議会の検討結果ははっきりしているので争点にはならない気がする」とのコメントがあった。合併の場合は選挙日程も重要な要素となりそうだ。
■問10
編入合併した場合に南足柄で50日以内の実施を想定している小田原市議増員選挙(定数6)について現時点の意向を聞いた。2人が「立候補する」、1人が「立候補するかもしれない」とした。
決めるのは議会
今回の調査は2市協議の動向を適時報道してきた経緯を踏まえ、編入が想定されている南足柄市の市議の考えを8月10日の協議会とりまとめの前に、広く伝えしようと企画した。
現時点で両市が合併するかどうかは決まっていないが、現行制度において最終的な合併に必要な【1】「法定協議設置」と、【2】「合併の可否」―を一義的に決するのは南足柄市と小田原市の市議会になる。
本紙では地域新聞社として今後も予断を持たず、この動向を伝えていく。
アンケート結果と寄せられた調査票は、Web版タウンニュース政治情報Webサイト「政治の村」でも公表している。
◆以下の画像をクリックかタップするとPDFが開きます。
【小田原市・南足柄市】2市任意協議会に関するアンケート結果
アンケートの詳細は以下でご覧いただけます。
http://seijinomura.townnews.co.jp/feature/2017/minamiashigara-shigi-q.html
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