戻る

足柄 人物風土記

公開日:2022.07.09

ロマンスカー保存会の会長を務める
稲田 栄(さかえ)さん
開成町在住 73歳

まちのシンボルを後世に

 ○…開成駅東口、駅前第2公園に展示されているロマンスカー3100形NSE車を2011年から管理している。車両は「ロンちゃん」の愛称で親しまれ、毎月第2・4日曜の一般公開日には多い日で100人超が訪れるという。「みんなの目当ては展望席上の運転席」。来館者を出迎える中で「人との関わりがやりがい」といい、車両の中に飾られるたくさんの写真を紹介。「ロマンスカーのファンからいただきました。凄いでしょ」と笑う。

 ○…車両の展示は01年からスタート。10年を区切りに当時管理を担っていた鉄道会社OBと町が自治会への引き継ぎを検討する中、「自治会活動の趣旨とは違うのでは」と思い、自ら協力を申し出た。現在は仲間とともに、管理を委託されている。根っからの鉄道ファンと勘違いされることも多いというが「まったく詳しくなくて、色々教わっています」と頭を掻く。

 ○…北海道北見市出身。山に囲まれた地域だったこともあり「外の世界を見てみたい」と進学を勧める両親の反対を押し切って、中学卒業後に集団就職を選んで上京。その後、熱海市の旅館で和食の料理人となり、料亭や保養所などで長らく腕を振るった。家庭でも愛する家族の胃袋を満たし、長男と長女が巣立った後も妻のために夕飯を担当する。「料理はイメージ。その通り作れたら楽しい」

 ○…車両の維持を目的に、19年に町がクラウドファンディング型ふるさと納税で集めた資金で塗装の塗り替えをした。しかし、日ごろから雨風にさらされていることもあり、サビやひび割れが目立ち、老朽化が著しい。「ロンちゃんはアジサイと並ぶ町のシンボル」とし、「この姿を後世に残したい」と語った。

    • LINE
    • X
    • Facebook
    • youtube
    • RSS