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足柄 人物風土記

公開日:2025.11.08

著書『遠い国』で第28回日本自費出版文化賞で入選を果たした
染谷 光夫さん
山北町岸在住 83歳

読書と執筆、変わらぬ日々

 ○…優れた自費出版作品の発掘を目的とする「日本自費出版文化賞」に応募し、小説部門215点から入選を果たした。「大賞を目指していたので残念だが、入選できてほっとしてます」と笑顔を見せる。受賞作品は3年前に出版した著書『遠い国』。日清戦争前期の朝鮮を舞台にした物語で資料収集から執筆までに要した期間は30年以上。関係する文献300冊以上を読み込んで練り上げた610ページの大作だ。「時間はかかったけど書き上げることが出来て良かった」と安堵の表情を浮かべた。

 ○…小説を書き始めたのは高校1年の時。太平洋戦争下の日本軍の軍隊生活を描いた小説『真空地帯』に出会い、読書が趣味に。同時に「小説家というこんな面白い仕事があるのかと知り、自分でも書いてみようと思った」。それからは片道20分の通学の電車の中では本を読み、帰宅後は2時間、オリジナルの小説を書くのが日課になった。

 ○…東京都出身。結婚を機に30代後半で山北町に移り住んだ。段ボール製品を製造する会社を48歳で退職し、新たな仕事として始めたのは古本屋。「ずっとやってきたのは本を読んで集めること。自分にできるのはこの仕事しかないと思った」。経営していた当時は市場に出回らない一冊を求めて東北から関西、九州へと仕入れに足を運ぶ日々に「見たことない本ばかりで、本当に楽しかったですね」と懐かしむ。

 ○…ここ数年は実際に起きた事件に関するノンフィクションの本を2年間で100冊以上読み込んだ。小説は戦前と戦後の日本を題材に、毎朝一息ついてから7時間ペンを走らせる。「他の趣味とかはなくて、興味があるのは本と書くことだけ。ずっと同じことを続けてきましたね」

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