13日(土)の昼に点火、岩どんど焼き保存会の会長を務める 加藤 好一さん 真鶴町岩在住 53歳
地域のおじさんでありたい
○…規模が大きいことで知られる岩海岸のどんど焼きで、一際大きな声を上げているのがこの人。準備や点火には町内自治会など様々な力添えが欠かせない。昔は3つの子ども会が持ち回りで準備していたという。降灰などの関連で存続が危うくなった時もあったが、岩小学校(当時)の児童からの要望もあり、どんど焼き保存会が発足。会長を引き受け、かれこれ20年経った。「昔世話になったおじさん達が頑張っていたから、やらなきゃなって」。気が付けば自分も立派な白髪頭になりつつある。
○…実家は大工で、小学生の頃から住宅建設の現場に通っていた。職人たちを真似て釘を打つと、すぐに父から叱咤の声が飛んできた。12歳の頃には壁をたたく音でその裏の構造が分かるようになり、中学生で自宅の階段も施工した。家業を継ぐために小田原城北工業高の建築科に進み、その後、建設会社の現場監督として就職。小田原駅近くのEPOや酒匂川沿いの小田原アリーナ、小学校校舎など、まちを歩けば思い出の現場ばかり。手入れが行き届いているかどうか、つい気になってしまう。
○…双子を含む3人を育て、無事巣立っていった。仕事で家を留守にする事が多いため、休みが取れると挽回するように地域でサッカーを教えたり、子ども会の代表を務めた。しわ深い目を細めて「あの頃は体が動いていたから」。今も仕事は建設現場。どんど焼きの季節は現場の引渡しを控えた正念場に重なる。多忙な合間に水筒を開けて口に含むのは、妻・祐子さんの淹れてくれたコーヒーだ。
〇…毎年小雨でも雪が降っても点火してきた。その醍醐味を聞くと、口を「へ」の字に、腕組みして天をあおいだ。「なんだろ?天も焦がす炎かな。年男・年女はもちろん、みんなで点火したいね」。サイズが大きい分、ダンゴを手に集う子どもの数も多い。苦労は数分で燃え尽きて、ほくほくとした笑顔だけが残る。
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