闘病を経て、真鶴産の本小松石を彫り続けてきた西巻一彦さん(59・伊勢原市)が、今年の干支「亥」を完成させ、秦野市の出雲大社相模分祠に奉納した。1年に1体ずつ石像を増やしており、6作目となる。
自身もがんで闘病経験
本小松石との出会いは学生の頃、教材として手にとった事がきっかけだった。色彩がおとなしく、石が主張しない。叩けば白っぽく、磨けば濃くも仕上がる。新作は子どもから高齢者まで親しみやすい愛らしいデザインだ。
これまで真鶴・亀川石材店の採石場近くで石と「対話」しながらノミを振るい、70作ほどを手掛けた。「自然の石は有機的で生命力を感じる。真鶴は想像力をかきたてられる場所なんです」。
西巻さんは2011年に悪性リンパ腫と診断され、心筋梗塞による心肺停止からの生還も果たした。治療がひと段落した時に、同分祠から全ての干支の彫刻という息の長い仕事を依頼された。当時は体調を考え断ろうとも考えたが「今後の12年間もしっかり生きてほしい」という草山清和分祠長の激励を感じた。病気平癒など様々な願いを胸に参拝する人々を「勇気づけたい」と作り続けて6年目。「病の不安は尽きないが、仕事で打消して一歩ずつ前に進みたい。今後も真鶴で、さらに密度の濃い作品を作るのが目標」と語った。
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