旭区・瀬谷区 人物風土記
公開日:2016.03.31
「クラシックの日」で演奏を行った、笹野台音楽堂を主宰するピアニスト
金子 直樹さん
笹野台在住 31歳
音色でつなぐ地域の輪
○…その音色を味わった聴衆は、さながら白黒映画の世界に入り込んだ気にすらなったという。笹野台中央商店会で行われた音楽イベント「クラシックの日」の一場面だ。演奏に使ったのは、中世ヨーロッパで誕生したとされる小型鍵盤楽器ヴァージナル。「上質な音楽を提供し、地域に貢献する」ことで、大好きな笹野台と商店街を盛り上げる。「笹野台を音楽の魅力に触れられる地域にしたい」
○…普段は同地でピアノ教室「笹野台音楽堂」を主宰する。教室に『堂』という字を使うのは、地域にとって「困ったときの駆け込み先のような場所にしたい」という願いから。生徒の年齢層もさまざま。これまで3歳から70歳以上まで、のべ40人が同教室で音楽に打ち込んできた。「プロを目指す方もいれば、趣味で弾きたいという方もいます」。心がけるのは、個々の満足度を高める指導だ。
○…生まれは港北区。幼いころからピアノに触れていた。小学校の授業で伴奏を引き受けると「周囲から認められた気がして」自信がついた。中高時代は時間が許す限り鍵盤と向き合う日々。「音楽以外の物事にも触れられる時期だったので少し後悔している」。そう苦笑するほど音楽に一途だった。音大に進学すると、ピアノを指導する面白さを知る。教室では「生徒の皆さんがどういう音楽をしたいのかを一緒に探っていく。演奏では得られない楽しみ」がそこにある。
○…笹野台に来たのは2年前。「他県にも家を探したが、ここが一番ホッとした」と語る。「名店揃い」と評す商店街が近くにあるのも愛着を持つゆえんだ。「何度かお店へ通うと顔を覚えてくれて」。会話のある人間関係に魅力を感じる点は、自らが指導者の道を選んだ理由にも通ずる。多忙な中、数少ない休暇は友人などとテーマパークへ。「分かる人にしか分からないんですが、BGMが意外に凝っていたりするんです」。24時間どこにいても音楽家である。
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