金沢区・磯子区 トップニュース教育
公開日:2012.08.02
区内市立小いじめ問題
障害への理解不足も
市教委 教員の研修実施へ
金沢区内の市立小学校で6月、発達障害の男子児童(6年)が、同級生からのいじめを理由に転校していたことがわかった。児童は障害が原因でいじめを受けていたとみられる。区内からは、障害への理解の遅れを指摘する声が上がっている。
横浜市教育委員会南部学校教育事務所によると、いじめは今年4月に発覚。障害についての差別的な言動や、殴る蹴るなどの暴力もあった。担任教諭は、いじめではなくグループ内でのトラブルと認識し、聞き取りや口頭での指導を行った。しかしその後もいじめは続き、6月になって児童本人が辛さを訴えたため、一家は区外へ自ら転出。6月8日に転校した。
「先生 知識深めて」
脳機能障害の一つである発達障害。このうち児童が持っていた高機能自閉症は、言語能力などに問題はなく、人の気持ちを推測するなどのコミュニケーションが苦手なことが特徴だ。5月には、大阪市維新の会議員団が、条例案に「伝統的子育てで発達障害は予防できる」と記述するなど、広く理解が進んでいるとはいえない状況にある。
区内の学習塾で発達障害児の学習を支援する秋山勝茂さん(50)は、「(発達障害児は)言葉やものごとを直接的に捉えがち。しばしば他の子どもとけんかになってしまう」と話す。そのうえで、「教員が対応の仕方を認識していないと、いじめに発展してしまう。発達障害を『個性』として他の子どもたちにどう伝えるかが大事」と指摘する。
「とても悲しい。17年前と同じことが今でも起こっているなんて」。高機能自閉症理解推進グループ「のびのび会」を主宰する上野景子さん=富岡西=はこう憤る。発達障害のある長男(25)も、同様にいじめが原因で小学校2年生のときに転校を経験。「学校の先生にも、まだ偏見を持っている人がいる。研修などで障害への知識を深めてほしい」と話す。
一方、市教委は一昨年度から、自閉症・発達障害教育の推進に向け動きはじめた。今春作成した「自閉症教育理解・啓発パンフレット」を活用し、2年がかりで全市立学校の教員に研修を受けさせる考えだ。市教委特別支援教育課は、「まずは教員の理解が必要。各々の個性を尊重する指導につなげたい」と話した。
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