座間版 掲載号:2013年3月8日号

タウンレポート

ボール修繕で雇用創出

障がい者の就業、NPOが支援

一針一針、丁寧に修繕作業を行う利用者
一針一針、丁寧に修繕作業を行う利用者

 精神障がい者の就労継続支援を行うNPO法人きづき(=岩田文子代表・市内緑ケ丘)が、破れて使えなくなった野球ボールの修繕を請け負い、障がい者の雇用を創出する「エコボール」事業に取り組んでいる。障がい者の地域社会参加のきっかけにもなると、注目を集めている。

 事務所の一室で、利用者たちが真剣な面持ちで、針と土色に染まった硬球を手に黙々と作業を行っている。1個のボールを再生するのにかかる時間は20分から1時間ほど。手作業でボールのほつれた部分を縫い直し、金づちで形を整えていく。「糸がうまくボールの穴に入らないことがある。そんな時は少し大変です」と、利用者の1人は表情を崩さずに答えた。

 これまで配食サービスやカフェ経営による就業支援活動を行ってきた岩田代表が、エコボール事業と出会ったのは昨年9月。京都の知的障がい者支援を行うNPO法人が始めた活動の噂を耳にし、現地に飛んだ。「ただ、障がいを持つ方に仕事を与えるだけでなく、本来役目を終えたものが再生する。素晴らしいと思った」。ノウハウを教わり、2ケ月後には近隣高校との交渉を始めた。現在は座間総合高校と座間高校、大和高校の野球部からボールをあずかり、1球50円で修繕を請け負っている。今月5日には、新たに横浜隼人高校から約300球の修繕を請け負うことが決まった。

 仕上がったボールは、作業した利用者とともに学校まで届けている。利用者にとっては、自分の仕事の成果を実感する貴重な機会だ。「野球部の方が整列して『ありがとうございました!』と元気に一礼してくれたこともあった。こういった経験は、利用者の働く自信につながる」と岩田代表。

赤い糸が地域結ぶ

 学校側にとっても、エコボール活動に協力するメリットは大きいという。座間総合高校硬式野球部副顧問の永嶋信太郎さんは「壊れたボールは、通常テープで巻いてTボールにするしか使い道がない。ボールの修繕は節約になる」と話す。通常、練習用の硬球は1球500円程度。試合用のものになると、1000円近くするものもあるという。

 活動を聞き、協力を申し出る地元企業も現れた。利用者たちにボール修繕のノウハウを教えたのは、市内緑ケ丘でスポーツ用品店を営む森谷美佐夫さん。岩田代表から事業について聞き、すぐに協力を申し出た。「自分の得意分野で人の役に立てる、いい機会だった」。

 元横浜ベイスターズ投手の大門和彦さんの提唱で始められた同事業。現在、県内では同法人のみだが、全国4ケ所で行われ、青森や山梨の事業所から見学者が訪れるなど、少しずつ広がりを見せている。

 これまで与えられる仕事が少なかった利用者の活躍の場にもなっている同事業。「就労支援所というのは、あくまで通過点。この活動を通じ、やりがいを感じたり、利用者の方が社会との接点を持つきっかけにしてくれると嬉しい」と岩田代表は話した。
 

ボールは再び活用されている
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