プロ野球のドラフト会議が26日に開かれ、星槎国際高校湘南=大磯町国府本郷=の本田仁海(ひとみ)投手がオリックスバファローズから4位指名を受けた。創部7年目と若いチームから初のプロ入りに向け、集まった報道陣を前に「ファンに愛される選手になりたい」と力強く宣言した。
オリックスの4位指名が決まり会見場に姿を見せた本田投手は、「プロ野球選手になるのが夢だった。これからさらに努力して、活躍できるよう頑張りたい」と緊張した面持ちであいさつ。隣に座った土屋恵三郎監督(63)から「仁海があいさつできてほっとした。うまくしゃべれないんじゃないかと思ったから」と囃されると、ようやく表情をゆるませた。
「監督の指導があったからこそ、この場に立つことができたと思っています」。最速149キロの速球右腕は、桐蔭学園を春夏通算10回の甲子園出場に導き、2年前から星槎国際湘南を指導する名将・土屋監督との二人三脚でプロ入りの夢をかなえた。
大和市のつきみ野中学校軟式野球部出身で、星槎国際湘南では1年生からベンチ入り。土屋監督にセンスを見いだされ、今春の県大会ではベスト4の立役者になった。「ルールも知らなかったような子で、ゼロからのスタートだった」と振り返る土屋監督は、「これからもしっかりと鍛え上げて、球団・スカウトの期待に応えられるような選手にしていきたい」と教え子の快挙に目を細めた。
プロ挑戦に向け、本田投手は「今まで以上に覚悟と努力が必要になると思う。持ち味の制球力で、勝てる投手、ファンに愛される選手を目指したい」。対戦が楽しみな打者には北海道日本ハムファイターズの中田翔選手を挙げ、同チームにドラフト1位指名を受けた清宮幸太郎選手にも「1年生のときにオープン戦でホームランを打たれているので、次は絶対に抑えたい」とライバル意識を燃やした。
プロ入り「母に恩返し」
「18年間育ててもらったので、これからは自分が支える番。しっかりと恩返しをしたい」――。本田投手の堂々とした受け答えを、母のもえみさんは会見場の後方から見守った。
女手一つで育て上げた一人息子。小さいころから病気をせず元気に育ち、野球を続けたいという本人たっての希望で、土屋監督がいる星槎国際湘南に進学させた。「寮に入っちゃったから、さみしかったですね」。親子で過ごす時間はすっかり減ったが、試合の応援に駆けつけるのが何よりの楽しみになった。
「卒業後は近くに戻ってきてくれると思ったけれど、また遠くに行っちゃう」。もえみさんは、報道陣に囲まれる息子を見てつぶやいた。それでも、厳しいプロの世界で羽ばたこうとする決意が頼もしく映る。「旅行する楽しみが増えたと思わなきゃ」。涙をこらえ、そう語った。
人生で一番いいボール
会見後、チームメートと共に本田投手を胴上げでたたえた田島大輔捕手(3年)は「自分のことのようにうれしい」と興奮気味に声を弾ませた。
1年生のときからバッテリーを組んだ女房役は、本田投手の印象を「入学当時は寡黙な印象で、練習中も存在感が薄かった」と語る。変化が見られたのは2年生の春。土屋監督の指導で頭角を現し始め「練習だけでなく、寮の掃除なども率先してやるようになった」。開花した才能に精神的な成長が加わり、不動のエースピッチャーが生まれた。
「(本田投手の)ストレートは、僕の野球人生で一番いいボールだった。プロでやっていくためには課題もあると思うけれど、頑張って成功してもらいたい」。冷めやらぬ歓喜の輪の中で、ミット越しに受け続けたあの感触をかみしめた。
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