190校が甲子園を懸けて戦った第96回全国高校野球神奈川大会は、東海大相模の優勝で幕を下ろした。
7月30日に横浜スタジアムで行われた決勝戦、東海大相模に0―13で敗れたが、30年ぶりに決勝進出を果たした向上高校。4月〜5月の県春季大会で準優勝し、続く関東大会でも準優勝と着実に結果を重ねてきた。その立役者の一人が、エースで副主将の高橋裕也投手(3年)=横浜青葉ボーイズ出身、都筑区=だ。
「連投で力を発揮できるタイプ。努力家でチームの精神的支柱」と平田隆康監督(40)が信頼を寄せる右腕は、今大会でも7試合全てに登板。29日の横浜隼人との準決勝では150球以上を投げ、翌日の決勝は2番手でマウンドに上がったが、勝利をたぐり寄せることはできなかった。「疲労がある中での連投は、春の関東でも経験してきた。決勝では思うところに球がいかなかったが、これも実力」と冷静に振り返る。「自分に厳しく、大会中も最後まで残って練習していた。まとめ役という責任感を行動で示す選手で、後輩にとっても憧れの存在」(平田監督)と、マウンド以外でもリーダーとしての役割を担っていた高橋投手。その姿勢はずっと貫き通している。
「自分に妥協せず、考えをしっかり持っていた。『倒れるんじゃないか』と周りが心配するほど練習熱心だった」と話すのは、高橋投手が中学時代に所属していた横浜青葉ボーイズ、梶原政与監督(47)だ。象徴的な当時のエピソードがある。秋の全国大会予選、泉中央ボーイズとの準決勝で、中学2年生だった高橋君が試合終盤、頭部に死球を受けて救急車で運ばれる出来事があった。「泣きながら『投げたい』って言って。すごい責任感だと思った」。そのときの強い眼差しが、指揮官の心に焼きついている。
今大会準決勝、決勝には、40人を超す青葉ボーイズの選手たちも観戦に訪れた。「子どもたちが(高橋投手の)投球に目を見張ってた。OBとしてチームに新たな歴史を刻んでくれたことに感謝したい」。試合後、梶原監督には応援へのお礼と「勝てなくて申し訳ない」とメッセージが届いた。先輩、高橋投手が果たせなかった甲子園の夢を、地元横浜の後輩が受け継ぐ。
―了
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