コロナ禍で美術館の休館やワークショップなどが中止となり、あざみ野を拠点にアート関連のプロジェクトを手掛けている(一財)「カルチュラルライツ」も活動の制限を余儀なくされてきた。緊急事態宣言が明けた10月、上久保直紀代表は、境遇を問わず「誰もが文化芸術に触れられる機会を作りたい」と話す。
移動型ギャラリーで
文化芸術を贅沢品ではなく、生活に必要不可欠なものと捉え、誰もが作品に触れられる機会の創出を目的とする同財団。今年7月には移動型ギャラリー「アート・トラック」=写真=を使い、絵画や立体作品など現代アートの出張展示を無償で開始したが、感染症の拡大を受けて活動は苦戦している。同財団は密になりづらい屋外展示もできるメリットを伝えながら、出張できる場所を探しているのが現状だ。
上久保代表は「文化芸術は生活する上で優先度が低く見られがちだが、コロナ禍こそ、それらに触れ、作品を見ている時だけでも活力になれば」と願いを語る。
「感動も生きる上では大切」アートに触れられる社会に
カルチュラルライツの上久保代表は都内の文化財団に勤務し、アート関連のイベント運営に取り組んだ経歴を持つ。職務をこなす中で、参加者は「元から芸術に興味がある限られた人たち」であることに違和感があったという。2020年10月に同財団を設立し、アート・トラックなどの企画を考えたのは、普段作品に触れない人や無関心な人にも興味を持ってもらおうとしたことがきっかけだ。
基本的に場所を問わず出張するが、生活の困窮を理由に美術館に行く機会が少ないDVシェルターなどに赴くことも多い。ワークショップでは暗い表情の子どもが絵を描くうちに生きいきとした顔になるなど、アートの力を実感することも。一方で貧困層が美術館に行くことや、画材を購入することに対し、否定的な意見もある。また、コロナ禍で不要不急が叫ばれた際は美術館など文化芸術に関わる場所が真っ先に規制対象になったことにも心を痛めた。
「作品を見て感動するのも生きる上では大切なこと。誰もがアートに触れられる社会にするため活動したい」と上久保代表。今後は「知名度を上げ、区内商店会のイベントや学校にも出張できれば」と意気込んでいる。【URL】https://cultural-rights.org/
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