横浜市 助産所で産後ケアを開始 育児不安軽減を目的に
横浜市は今月から産後4カ月以内の母子を対象に、育児サポートや母親の心身ケアなどを行う「産後母子ケアモデル事業」を、市内8助産所で開始した。助産師が適切なケアを行うことで育児不安を解消し、児童虐待などの未然防止につなげる取り組みは県内初。
横浜市は、少子化対策として国が進める「少子化危機突破のための緊急対策」に基づく「産後ケア事業」に先駆け、同事業に取り組む。心身ともに不安になりやすい出産後4カ月の母親や専門性の高いケアを必要とする乳児に、妊娠・出産・産後の支援経験が豊富な助産師がきめ細かいサポートを行う。
この事業は市内8カ所の助産所に委託するかたちで実施される。
緑区在住者は、三保町の「みどり助産院」(山田みどり代表)を中心に「産後母子ショートステイ」や「産後母子デイケア」のサービスを受けることができる。乳房ケアや授乳方法、赤ちゃんとの接し方などを助産師から学ぶことが可能。助産師のアドバイスは育児中の生活の仕方や健康管理、赤ちゃんへの沐浴、発育のチェックなど多岐にわたる。
1日利用できる「産後母子ショートステイ」は1日当たり3000円で3食付(1泊2日は6000円)。短時間利用の「産後母子デイケア」は1日2食付で2000円。7日間まで利用でき、育児相談も行うことができる。
対象は「横浜市民である」「家族などから産後の援助が受けられない」「母子ともに医療行為が必要ない」――などにあてはまる母親。緑区在住者は緑区役所こども家庭支援課に申込み。区との面談を経て利用の可否が決まる。
出産後の母子へのケアの必要性について、長津田みなみ台で産婦人科などを診る「みなみレディースクリニック」の森理子院長は「相談できる相手がいないために、育児についてひとりで悩む母親からの相談が増えている。性格的にまじめな方が多く、診察室で泣き出す場合もある。まわりが母子を孤立化させないことが大切。このような取り組みは広く進めていってもらいたい」と話す。
「母子の孤立防げ」地域あげて取り組む
市は「今回の取り組みは来年3月までのモデルケースとして実施する。母子への支援経験が豊富な助産師のケアで、母親に子どもを育てる力をつけてもらいたい。区と助産所が連携を図ることで、地域での子育て支援を強化する狙いもある」としている。
「市から協力を求められたときは『ぜひお手伝いさせてもらいたい』とお伝えしました」。助産師歴が36年目の「みどり助産院」の山田代表は、同事業が「子育ての孤立化」防止につながると期待する。育児に関する相談ができない母親が増えていることを常々感じており、「何かできないか」と考えていたという。「今の時代に合った取組みと思います。利用者の方それぞれに合ったサポートを行っていきたいと思います」と語る。
みどり助産院にはすでに2人が出産後のケアを求め、同事業の活用を申し込んでいるという。
同事業に関する問合せ・申込みは緑区役所こども家庭支援課【電話】045・930・2361。
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