区内中山在住の落語家で、5月1日に真打に昇進した瀧川鯉丸さん(38)がこのほど、タウンニュースの取材に応え、日ごろから活動を支えてくれる地域の人々への感謝の気持ちや、真打としての意気込みなどを語った。
「皆さまのご縁でここまで来ることができました。今後は一席一席、一層楽しんでいただけるようにし、ご恩を返していきたいです」。活舌の良い明るい声でそう語る。
緑区民の優しさ糧に
愛娘を育てながら神奈川区に暮らしていた当時、中山にある「菌カフェ 753」で落語会に出演した鯉丸さん。その際に出会った人の縁で、より子育てしやすい環境を求め、2019年に緑区に転居した。
ただ「次の年からコロナ禍に。僕らは来場してくださるお客さまあっての商売だから、すごく大変な期間がありました」。そうした時でも「ご近所の皆さまがとても優しく接してくれて、助けられました。それが一つの大きな糧になったんです」と振り返る。
長津田で年2回開催される「みどりアートパーク寄席」には、20年からほぼ毎回出演。地域に笑いを届け続けている。
みどりアートパークの職員の女性は「もう感謝しかないです。落語家って世界に900人くらい。野生のパンダの数より少ない。パンダより希少な落語家さんがご近所にいてくれて、ずっと協力してくださっている。真打に昇進されたことがうれしくて、スタッフ一同大喜び。等身大パネルを作っちゃいました」と笑顔で話す。パネルは同館入口付近に設置してあるほか、同館のガラス張りの壁には、真打昇進を祝う特別な装飾を5月27日から開始。当面の間、季節に合わせて演出を変更しながら飾るという。
さらに9月15日(月)には、同施設で真打披露目会を予定。鯉丸さんは三遊亭好楽さん、師匠の瀧川鯉昇さん、柳亭小痴楽さんらと共に出演し、みどりアートパークで初となる「口上」も行われるという。
「偶然」に導かれ
港北区日吉生まれという鯉丸さん。「子どもの頃は人前で話すのが苦手でした」と少年時代を振り返る。
転機が訪れたのは、受験勉強中だった高校3年生のとき。ラジオで偶然聞いた古典落語の演目「芝浜」に衝撃を受けた。「一つの世界が、言葉だけでこんなに広がっていくんだ。落語ってこんなに心地良いのか」。初めて聞いた落語。その巧みな話芸に心惹かれ、早稲田大学進学後、すぐに落語研究会へ。当初は「自分がやるつもりではなく、もっと落語を聞きたい、知りたいという気持ちでした」。
ところが大学1年時の学園祭で、自身が落語を披露することに。「緊張したけれど、割とうけた。それが人生の過ちでしたね」と笑う。学生時代、就職活動は一切せず、卒業後、瀧川鯉昇さんに入門。「同じ噺なのに何回聞いても面白いんです。言葉が新鮮なんですよね」。その強烈な魅力に惹かれたという。
真打として「一層多くの人に『呼んで良かったね』と思われる落語家になりたい」と熱意を語る鯉丸さん。己の芸を磨く日々は、これからも続いていく。
![]() みどりアートパークにある装飾の前に立つ鯉丸さん
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