港北区 人物風土記
公開日:2012.02.16
今月30周年を迎えた、区内で活動するマラソンサークル「横浜好走会」会長
西田外志男(としお)さん
大曽根在住 61歳
「雨ニモ負ケズ」一歩一歩
○…「30年続いている団体ですから、何かいいところがあるのではないかと思います」。3代目の会長として5年前に就任。男女50・60代中心に43人が集まる。マイペースにマラソンを楽しめるという魅力に、80歳になる高齢者もメンバーの一人だ。現在は縁の下の力持ちとして、タイムの計測や事務仕事、世話係を買って出ている。
○…練習場所は綱島などの鶴見川河川敷。これまで好走会としては区民駅伝や東日本国際駅伝大会、県内の駅伝大会などに参加してきた。立ち上げ当初は同好会として仲間内で一緒に練習をして楽しむ程度だったが、皆で走る楽しさを広めていこうと、規模を拡大していった。今では、個人的にホノルルマラソンなど国際的な大会に挑戦するメンバーもいるほどだ。「ご高齢な方も多いので、何より怪我や事故がないように気をつけています」
○…走ることに目覚めたのは社会人になってから。自動車会社のエンジニアとして開発に携わる傍ら、工場の周りを毎日のように走っていた。連休には『東海道五十三次』を日本橋から三条大橋までを走るなど遠征に出かけた。「松尾芭蕉の『奥の細道』を7年かけて走った時には、野宿で寒波が襲ってきて凍え死にそうになりました。でも走破した時は感激した」と懐かしむ。
○…定年後は「少しでも人の役に立てれば」と思い介護の道へ。現在は施設でケアワーカーとして勤務する。「走ることと同じように、介護も食事や入浴、オムツ交換などコツコツと続ける作業なんです」。おもむろに広げた手帳の最後のページには、還暦の記念に自ら書いたという「雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ…」という宮沢賢治の詩がしたためられていた。生き方の理想だという。「メンバーのみなさんには少しでも長く、楽しく走り続けてほしいです」と語る。コツコツと続ける努力が人々や社会に役立っていく。
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