横浜市はこの4月から施行された生活困窮者自立支援法にもとづき、経済的に困っている人を対象とした相談窓口を18区全区に設置している。現金給付ではなく、生活保護に至る前段階での支援を行うことにより、継続的な生活の安定や自立を目指す方針だ。
家計相談も
市は新年度から「保護課」を「生活支援課」に名称変更。各区役所の生活支援課で新たに相談を受け付けている。対象とするのは生活保護受給者を除く、市内在住で経済的に困っている人で、各区には社会福祉職職員1人、自立相談支援員1〜3人を配置し態勢を強化した。支援内容は、失業した人などの就労を、他の窓口と連携しハローワークとともにサポートする自立相談支援、家賃相当額を一定期間支給する住居確保給付金、借金の整理を含む家計相談支援など。内容や状況に応じ支援員が相談者と共に目標を立てプランを作成し、解決に向けて援助していく。
これまで窓口はホームレス支援や生活保護制度の活用に限られていたため、それ以外の困窮者については行政で関わる受け皿がなかった。市健康福祉局は「支援の幅が広がることで、制度のはざまにいる人が救われるのではないか」と期待を込める。4月10日時点での相談者総数は198人で、申し込みは30件。同局は「順調なスタート」との認識を示している。
中区でモデル事業
中区では2013年10月から全国に先がけモデル事業を実施している。担当者によると昨年度末までの1年半、98件の申し込みがあり、就労支援の利用者が53人と半数以上だった。並行して借金や未納金などの課題を抱えている事例もあったほか、申し込みをしても継続しない人の存在も指摘している。担当者は「制度は大枠ができた状態。周知を進め、各区が状況に応じて肉付けしていかなければ」と話す。就労準備支援の業務を受託したNPO法人ワーカーズコレクティブ協会は「生活が差し迫り、すぐに働きたい人が多い。先が見えやすい態勢を整備する必要があるのではないか」とコメントする。
また、ひきこもりなど自ら出ていくことができない人の支援も課題にあがる。同局では民生委員らと連携し、潜在的なニーズの早期把握を目指す方針を示している。「まずは窓口を整えていき、徐々に出向いて掘り起こしていきたい」としている。
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