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公開日:2025.12.18

高田町古川原さん
「農家レストラン」来夏開業
構想10年の夢 実現へ

  • 建設予定地で完成予想図を手にする古川原さん

  • レストランの看板にも使用される同農園のロゴ

 港北区高田町の田園風景の一画で、横浜市内では初となる農地でのレストラン建設がいよいよ始まる。手掛けるのは、同地で露地野菜を育てるJTFファーム株式会社・古川原農園代表の古川原琢さん(44)。「農家レストラン」は今月にも着工し、2026年夏のオープンを目指す。

 建設予定地は、法律で「農業以外の利用」が原則認められていない場所。通称「青地」と呼ばれ、本来なら建物を建てることができない厳しい規制があるエリアだ。

 古川原さんは「都市農業の発展には、消費者が土や緑のそばで農に触れる拠点が必要」と、前例のない挑戦を決意。法改正による規制緩和の動きはあったものの、実際の許可取得は困難を極めた。それでも粘り強く行政と協議を重ね、足掛け7年以上。今年10月末、ついに農地転用等の許可が下りた。「構想から10年以上。実に長い時間がかかりましたが、ようやく実現の運びとなりました」と、古川原さんは建設予定地で感慨深げに語る。

「野菜を一番おいしく」

 建物は、日本の古き良き農家住宅をモダンに再現したデザインとなる予定だ。コンセプトは「農家の家庭料理。というか古川原家の料理」とほほ笑む。「シェフが作るイタリアンやフレンチではない。我々農家が普段食べている、採れたての鮮度と素材本来の味を活かした定食を提供したい」。食材は、目の前の畑で育てた旬の野菜が中心。「その時期に一番おいしいものを、一番おいしい食べ方で」というのがこだわりだ。

 さらに、近隣の南山田町(都筑区)にある「織茂養鶏場」の卵を使ったプリンやティラミス、JA横浜を通じて調達する県内産の米や肉など、メニューは徹底して「オール横浜」にこだわる。「本当の野菜のおいしさを、畑の真ん中で体感してほしい」と意気込む。

ロゴに託した希望

 麦わら帽子を被り風に吹かれている女の子の横顔――。このロゴマークは、愛娘をモデルに古川原さんが自ら描いたものだ。既に同園の野菜パッケージでも親しまれているが、新店舗の看板にも掲げられる。古川原さんは「農業は台風などの自然災害と隣り合わせ。豊作もあれば全滅することもある」と厳しさを口にする一方で、「このロゴには、どんな時も決して諦めない将来への希望を込めた」と、デザインに託した思いを明かす。

 多角化経営で、横浜農業の新たな可能性を切り拓く古川原さん。「農家の、農家による、地域のためのレストラン」として、高田の地から新たなランドマークを目指す。

 計画地は港北区高田町2135。席数は36席で、駐車場17台、駐輪場6台を完備する。営業時間はランチ午前11時から午後2時、カフェは午後2時から5時予定だ。最新情報は同園ホームページで。

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