大正末期〜昭和の北山田から 第36回 都筑区の歴史を紐解く 文・絵 男全(おまた)冨雄(『望郷』から引用)
婦人特攻隊
戦局も重大な局面を迎え、沖縄が戦場になり、本土決戦も決定的になった。
軍では、海岸線で阻止するため、最後の手段として女子特攻隊を組織した。
これは、あくまでも秘密に結成され、菊水のマークが旗印だったと思う。
北山田にも、複数の女子隊員が極秘におられたと記憶している。
隊員は、海岸線に人間一人入れるたこつぼ式の濠を掘り、戦車爆雷を抱いて潜み、戦車が上陸してきたら、爆雷を抱えてキャタピラの下に飛び込み爆破させる特攻隊で、もちろん、我が身も吹っ飛んでしまいます。
これは戦場では命令により盛んに行われたことですが、内地では、幸い実施されなくてよかったと思います。
今さらながら平和の尊さを感じます。
送別会【1】
徴兵検査を受け、続々青年会先輩が出征していった。
富士山倶楽部で送別会を開いたが、灯火管制で電球に黒い布をかぶせ、ほとんどロウソクの明かりくらいしかなく、配給のわずかなお酒と、薩摩芋を輪切りにして焼いたのと、芋キントンで軍歌を歌い、会員全部で励まし、俺たちも後から行くからと別れを惜しんだ。
翌日、倶楽部で町内全員壮行会を開き、町境まで送り出した。出征兵はかならず途中で山田富士を振り返り、いつまでも見つめていた。
そして、たいがいの人は、二度と帰らなかった。
心では今一度と思ったであろうが、覚悟して行く身には、女々しい態度は取れぬと、大勢のなか家族にも素知らぬ振りで、別れていった。周囲がなければ存分家族に言葉もかけられただろうに、と察した。 (つづく)
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