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都筑区 人物風土記

公開日:2020.12.03

秋山木工グループ代表で、来年創業50年を迎える(有)秋山木工代表取締役の
秋山 利輝さん
中川在住 77歳

走り続ける”木の匠”

 ○…宮内庁や迎賓館、大手デパートなどで使用される注文家具を作り続ける。27歳の時に独立し鷺沼に「秋山木工」を設立。現在は荏田東に本社を構える。女性も坊主、携帯電話禁止など細かなルールの丁稚制度に注目が集まりテレビや業界紙からも取材を受ける。会社が大きくなっても譲れない信条は、目の前にいるお客さんをびっくりさせる(喜ばせる)こと。「びっくりされなかったら僕の負け」と揺るがぬ自信をにじませる。

 ○…奈良県出身。「村でも有名な貧乏一家」と8畳一間に家族8人で過ごした生活を話す。「食べるものがなくて隣の家に米を貰いに行くのが僕の仕事だった」と笑顔。「貧しかったけど米をもらう中で人間を見抜く力を得た」とただでは転ばない強さを見せる。勉強に興味がなく成績はいつもオール1だったが、手先が器用で、村人から大工仕事を依頼されるほど。自然と職人を目指し中学卒業後家を出た。

 ○…「日本人として日本を1mmでも良くしたい」と次なる目標を掲げ昨年から始めた不登校、引きこもり支援に注力する。長崎から来た3人を受け入れ「選択肢の一つになれば」と技術指導を行った。「昔の何もできなかった自分と重なる部分があるんだ。誰にでもある才能を見つけ背中を押せれば」とプロジェクトを通じ将来を担う若者に期待を込める。

 ○…職人として走り続けた60年、家具を作る手を止めたことはない。「全部遊びで、全部仕事」。これまで欠かさず続けているのは丁稚や職人の誕生日を祝うこと。正月にまっさらな手帳を開きみんなの誕生日を記入する。「恋愛の話やここぞと意気込んで進路の相談をするやつもいます」。愛に溢れた厳しさに、多くの人が引きつけられるのだろう。

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