コラム「学校と社会をつなぎ直す」㉒ 文武両道を全ての生徒学生に 桐蔭学園理事長 溝上慎一
日本の学校は伝統的に部活動を教育の一部に含めてきた、世界でも稀な国である。政府が進める「(運動)部活動の地域移行」を機に、改めて生徒学生にとっての部活動の意義を考えてみたい。
勉学に励み部活動も頑張って両立させることを「文武両道」と呼ぶことがある。「武」はスポーツを指すが、拡張して「部活動」とする。この言葉は、勉強(文)ができる生徒学生が部活動(武)も頑張ることを指すことが多い。それは従来通り大事にしていきたい。しかし「武」を頑張る生徒学生が「文」も頑張るというようにはあまり用いられない。「武」を頑張る生徒学生が「文」も頑張ろうというメッセージを加え、部活動の学校教育の意義につなげられないだろうか。
「武」で活躍する選手は、自身の状態や課題を俯瞰して把握し、日常生活から自身を厳しく律して、改善や発展に向けて最大の努力をする。何も全国やオリンピックレベルの選手だけの話ではない。ふつうの生徒学生も、ある程度こうしたことを「武」で行っている。彼らは「武」でそれができて、なぜ「文」に及び腰なのか。この間で学校教師の介入支援が必要である。「文」の弱い生徒学生が「武」で頑張っていることで、何か頑張ることがあればそれでいいと安堵するのではなく、彼らの将来に必ず「文」が必要であることを改めて理解し、そこに部活動の存続、新たな「文武両道」の意義を考えていきたい。(続く)
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