歴史資料として重要な行政文書や古文書などを収集・保存し、閲覧・公開する神奈川県立公文書館(中尾1の6の1・古藤哲朗館長)が1993年11月の開館から20周年を迎えた。開館20周年記念行事として22日には、特別講演を実施。3月30日(日)まで、開館の経緯や修復方法の紹介など、過去から未来へ向けた特別展示「記録遺産は時を越えて」も行われている。
同館は1966年に開始された、「神奈川県史」編集事業に端を発する。この時に、編集作業で利用し、資料の散逸を防ぐために古文書を収集。68年には県立図書館に併設される形で県立文化資料館が設置された。その後、82年に県の情報公開制度に関する提言の中で公文書館の新設があがり、93年の開館に至った。
同館の役割は一定保存期間が経過した県の行政文書や神奈川に関する古文書、私文書、行政刊行物など記録類の収集や保存、公開。また、展示や講座などによる普及活動や電子記録の保存など、運営に関する様々な調査研究も行っている。
現在は約70万点の資料を保存し、年間約1万5000人が来館。最も古い物では、鎌倉時代の古文書なども管理している。誰でも利用することができ、歴史研究家から不動産関係の人まで、多種多様な人が利用しているという。また、2010年3月から「神奈川デジタルアーカイブ」を開始。パソコンで資料を見ることが可能になった。「電子化は避けては通れない」と資料課の薄井達雄さんは話す。その上で「歴史資料は10年後見られればいいものではない。紙であれば千年前のものでも見ることができる。電子化の技術の進捗を見ながら保存方法を検討していかなければいけない」と展望を語った。
アーカイブズ主題に講演
22日には「それでも日本人は『戦争』を選んだ」の著者・加藤陽子氏(東京大学大学院教授)を講師に、開館20周年記念特別講演が行われた。「近現代史の面白さ アーカイブズの視点から」をテーマにした講演には約200人が参加。「『アーカイブズ』という言葉にはいい日本語訳がない」「公文書の管理には選別の基準が必要」と語る加藤氏の声に熱心に耳を傾けていた。
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