市歴史博物館の学芸員で市内に伝わる風習を題材にした絵本を中心となって作成した 羽毛田(はけた) 智幸さん 東京都在住 37歳
「教科書にない歴史」伝えたい
○…市内に伝わる民間信仰を知ってもらおうと、同館で11月23日まで開催中の企画展に併せて2冊の絵本を作成。文章を手掛けた。「風習を続ける戸数は年々減っている。残すためには伝えていかないと」。幼いうちから親しみを持ってもらい、古くから伝わる習わしを後世まで残したい熱い思いがある。「子どもがわかるような言葉で書くのに苦労した。楽しく読んでもらえたら」と頬を緩ませる。
〇…川崎市市民ミュージアムや厚木市郷土資料館などに勤め、4年前に歴博へ。市の歴史に関わる資料の収集や保存、展示の企画が主な仕事だ。「古いものに触れるのが楽しい。『よく残っていたな』と思うほど古いものに出合い、驚くこともある」。開催中の企画展に並ぶ『育児保健図譜』も神田の古書店を巡って見つけ、買い付けたもの。「重要な資料が思わぬところで見つかることも。毎日が発見の連続」
〇…3人兄弟で、何でも要領よくこなす次男坊。勉強もスポーツも「嫌いではなかったけれど…」熱中できるものがなかった。ただ、歴史の授業で「大阪城を建てたのは誰か」という問に「豊臣秀吉」と答えることに違和感を覚えた。「石を積んだり、実際に作業したのは本人ではなかったはず」。教科書にあるものがすべてではないと気付き、名もなき人々の生活に興味が湧いた。進学した早稲田大学では民俗学の道へ。以来、普通の人々の普通の生活を調査し、伝えている。
〇…2歳の娘を持つ父親。休日は家族で動物園や水族館などに足を運ぶイクメンだ。「どんな見せ方をしているのか、裏方が気になるのは職業病」と微笑む。今回の絵本を娘に読み聞かせるとすぐに「おしゃもじさま」の言葉を覚えたそう。日に日におしゃべりが上手になる娘の成長が仕事の糧になる。「仕事も育児も一つのことをやり遂げたからといってゴールではない。来てよかったと思われるような展示を目指したい」
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