旭鋳金工業 横浜ブランド商品を開発 鋳物のハンガー世界に
横浜市はこのほど、市内中小企業の高い技術力(technique)と、クリエーターのアイデア(idea)を掛け合わせた地域ブランド「texi」(テクシ)を立ち上げた。旭区内で鋳物(いもの)の製造を行っている旭鋳金(ちゅうきん)工業株式会社=西川島町=も同事業に参加。クリエーターと協働で、アルミ鋳造の立体ハンガー「Al Cast Hanger」を開発した。同ブランドの商品は今年2月、ドイツで行われる世界最大級の雑貨見本市にも出品予定。世界に向けた販路開拓も視野に入れている。
地域ブランド「texi」は、市が取り組む「創造的産業振興モデル事業」として、2013年11月から始動。今回発表された同ブランドの商品は、旭鋳金工業の立体ハンガーのほか、ガラス製品の加工などを行う豊住曲硝子株式会社=都筑区=の「曲げガラスの傘立て」など計4点。市が委託した専門家チームが事業全体を取りまとめ、高い技術力を持つ市内の中小企業がクリエーターの案を商品化した。
熟練の技光る逸品
溶かした金属を型に流し込み作る「鋳物」の製造を行う同社。普段は特殊モーターのカバーのような、産業用機械の部品などを主に製造している。
今回開発したハンガーは溶かしたアルミを専用の型に流し込んで製作した。「服が型崩れしにくく、またデザインにもこだわったハンガーです」と笑顔で話すのは同社の大林淳一代表取締役。しかし、その製作には多くの苦労があった。
最大の難関は溶かしたアルミを流し込む「型」を作ることだったという。大林さんは「クリエーターがデザインしたサンプルで鋳物の型を設計するのは、非常に難しい点があった」と振り返る。同社は約半年の時間をかけて、型を作る業者と協働してハンガーの型を作り上げた。
細い線がいくつもつながったような形状も、同ハンガーの大きな特徴だ。細い線を作るということは、溶かした金属が流れる、型の中の道も細いということになる。「アルミは鉄や銅よりも熔解温度が低いので、すぐに固まってしまいます」。流したアルミが型の途中で固まってしまうと、型の隅々までアルミがいきわたらず不完全な形になってしまう。「アルミを型に流し込むタイミングは本当に感覚です。言葉では表せないセンスが必要になってきます」。まさに、熟練の職人技無くしては形にならない逸品だ。
海外展開も視野に
今後、同ブランドの商品は国内での販売はもちろん、海外展開も予定。今年2月には、ドイツのフランクフルトで行われる雑貨などの世界最大級の国際見本市「アンビエンテ」に出品される。「これにかけています」と大林さんも意気込み十分。さらに、商品は現在、YCCヨコハマ創造都市センターの1階に設けられたショールームに展示されており、誰でも無料で見学できる。「鋳物を知っている人はまだまだ少ないと思う。ぜひ手に取って、つなぎ目の無い一つの金属でできたハンガーの良さを感じてほしい」と大林さんは語る。
市担当者は、同ブランドの商品を今後さらに増やしていきたいとしている。また、時期は未定だが将来的には、一般向けの販売も行われる予定になっている。
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