お手玉のような約5cmのボール(バッグ)を両足で落とさずに蹴り、多彩な技を繰り出すストリートスポーツ「フットバッグ」。7月末から8月上旬にカナダで開かれた「ワールド フットバッグ チャンピオンシップス」のシングルルーティン部門で、旭区在住の石田太志さん(40)が世界一に輝いた。初出場した2004年から目指していたという目標を20年越しで達成した。
曲を変え、多彩な演技に
フットバッグは1970年代にアメリカで始まったとされ、現在は欧米に加えて南米やアジアで広がりを見せている。ワールドフットバッグチャンピオンシップスは今年で43回目という歴史ある大会。石田さんは04年に中級者クラスに初出場すると、14年と18年に30秒間で高難度の技を積み上げる「シュレッド30」部門を制覇し、18年は総合優勝も果たした。
シングルルーティンは音楽に合わせて1分30秒間で技を繰り出し、芸術性や技術を競う。世界大会のメインという部門で、石田さんの過去最高成績は2位だった。
今大会のシングルルーティンは約50人が出場。石田さんは初制覇に向けて練習量を増やして高難度の技を演技に取り入れながら、選曲にも工夫を凝らした。予選・準決勝・決勝の各ラウンドで曲を変更して演技に変化を付けるとともに、決勝ではフィナーレに相応しい感動できる曲を選んだという。「観客の中には泣いている人もいました」と石田さん。減点となる球のドロップも1回に抑えて1位に輝いた。
殿堂入りも
小学生から高校生までサッカーに取り組んでいた石田さんは大学在学中の03年にフットバッグを始め、卒業後もアパレル関係の仕事に就きながら続けた。フットバッグで生活する夢を追いかけるため11年に退職。現在は世界でも稀なプロプレイヤーとして大会に加え、イベント出演や小学校での指導にも取り組む。
大会での活躍が評価され、2018年には選手として世界の殿堂入り。今年6月には競技普及などの貢献で、フットバッグ業界全体での殿堂入りも果たした。21年には2つのバッグを1つの足でジャグリングした合計回数のギネス世界記録に挑戦し成功している。
石田さんは今後の活動について、「日本やアジアでの更なる普及に力を入れてきたい」と意気込んでいる。
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