戸塚区・泉区 文化
公開日:2023.04.20
「孫たち」の笑顔生む“凧職人”
平戸町在住・渥美富士男さん
毎年5月に平戸町町内会が主催する「凧揚げ会」。平戸町在住の渥美富士男さん(81)は、このイベントで子どもたちに配布される凧や名物の「連凧」を制作し続けている。
連凧とは、複数の凧を糸でつなげて揚げるもの。渥美さんが作る連凧は60枚でおよそ110m。持ち手となる凧糸を合わせると、全長約400mにもなり空高く揚がるという。
イベントでは、60枚を参加者が一枚ずつ持ち、タイミングを計りながら順番に離すことで徐々に揚げる。「風を読むのがコツ。落ちたら大変だから、揚げるときは命懸けだよ」と話す。
年間1000枚以上
渥美さんは、このほかにも区内外の小学校や幼稚園の子どもたちに凧をプレゼントしたり、作り方を教えたりしている。「一生懸命取り組めば、自分で作ったものは宝物になる」とものづくりへの姿勢を語る。
そのほか竹とんぼや竹太鼓、夏には水鉄砲などを作って地域に配布することも。その数は年間で、凧を1000枚以上、竹とんぼを1500本以上にもなるという。
「一人で作るのは本当に大変。腱鞘炎になったこともあるよ」とその苦労を語りながら、制作の原動力について「やっぱり子どもたちの笑顔があるから。みんな私の孫みたいなもんだ」と笑顔を見せた。
広がるものづくりの輪
幼いころから工作がすきだったという渥美さん。小学生当時に持っていた鉛筆削り用の小さなナイフを使って、さまざまなものを作り、友人に配って遊んでいたという。
大人になってものづくりから離れてしまった渥美さんが、凧作りを再開したきっかけは、定年退職後にバスの運転手として勤め始めた初音丘幼稚園での作品展だった。
「先生方に『渥美さんも何か作ってみてください』と言われて久々に」。園児が喜ぶようなキャラクターやモチーフの凧を作ったところ、その技術や作品の出来栄えが周囲に広がり、現在はさまざまな場所で作り方を教えるようになった。
最近では、大人に教える機会も増えているという。「いつか連凧にしたいと言う人や、子どもたちにも教えたいと言ってくれる人もいた。夢があって素晴らしいこと」と、講師の立場としてもうれしい出来事を経験。
渥美さんは今でも、凧の軽量化や新しい形の完成を目指して研究している。「100%完璧はない。だからこそ、試行錯誤を続けていく」と意欲を語る。
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