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戸塚区・泉区 社会

公開日:2025.06.05

「8050問題」 連載【2】
「適切に行政機関につなぐ」
川上第一団地 青木民生委員

  • 取材に応える青木民生委員

 80歳代の親が、50歳代の子どもの生活を支える「8050問題」。背景には親の高齢化、子どもの長期間にわたるひきこもりがある。親亡きあと、子どもがどう生きていくのかなど課題は数多い。

 内閣府が今年4月に公表した、全国で孤立死した人の推計値は2024年1年間で約2万人。60歳以上が約8割を占めたものの、50歳代も2740人いたという。この連載では、こうした問題の改善に取り組む団体・個人に、53歳の本紙記者がインタビューを行う。

 入居者の高齢化が進む、県営の川上第一団地で東戸塚地区民生委員・児童委員と、同団地自治会の事務局長も務める青木容子さん(52)さんに「8050問題」について話を聞いた。

 ――民生委員として相談を受けることは。

 「守秘義務があるため、個別具体的にはお示しはできません。ですが『8050問題』に該当する方からのご相談はあります」

 ――どうアドバイスされましたか。

 「私たち民生委員の大きな役割の一つは問題を抱えている方を、適切な行政機関につなぐことです。お話をよく聞き、必要であればケアプラザや区役所など、公共の窓口へのご相談を勧めるという手順を踏んでいきますね」

 ――同じような問題がある世帯を把握する仕組みはありますか。

 「難しいです。団地にお住まいの世帯数は把握できますが、何人で住んでいるのかは個人情報のため分かりません。つかみやすいのはお一人で暮らしている方。民生委員の見守り対象は担当地区全住民です。児童委員を兼ねているのはそのためですが、特に高齢単身世帯は毎月の訪問を依頼されているため、アクセスしやすいんです。また、第一団地の民生委員は定員が2人ですが、いま欠員状態です。私たちの団地に限らず受けてくれる方も減り、みなさん業務も多く大変だと思います」

 ――手詰まり感がありますね。

 「ただ情報を集める方法としては、民生委員だけではなく、自治会との両輪であれば幅は広がると思います。私は自治会の事務局長をやっていますので、毎月そちらの会議からの情報共有で団地の全体像が見えやすくなっていて、実際、いまも何か問題があればケアプラザさんにお願いしたり、社協さんや自治会会長に相談したりしています。改めて考えてみると、こうした多角的なアプローチができると把握しずらい『8050問題』世帯をキャッチできる精度は上がるかもしれません」

進む高齢化

 ――川上第一団地の住民の平均年齢は。

 「正確には分かりませんが推測はできます。370から380世帯あり、自治会で70歳以上の方に敬老の日に配るプレゼントが300弱世帯あります。このことからも高齢化が進んでいることは間違いありません」

 ――いろいろな接点の持ち方があるんですね。

 「このほかにも警察や区役所などからで、防災や防犯で高齢者の方に関連がありそうな、さまざまな情報を載せたチラシをご自宅に投函しています。そうしたものに引きこもりに関して手助けができるという趣旨の文言を書き加えてもいいかもしれない。今後の検討課題とします。いずれにしても困っている人がSOSを出しやすいようにしていきたいですね」

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