戻る

戸塚区・泉区 社会

公開日:2025.08.19

「核兵器のない世界へ」
きっかけつくる若者たち

  • 核兵器禁止条約の締約国会議に参加した(左から)本間さん、共同代表の山口さん、倉本芽美さん

 「核兵器のない世界をデザインする」――。

 市民団体「KNOW NUKES TOKYO」は、30代以下の若い世代が中心となり、核兵器根絶を目指して多様な活動を行っている。

 メンバーの一人で、明治学院大学・横浜キャンパス(戸塚区)に在籍していた本間のどかさんは、「過去のことを知ったうえで、今の世界はどうなっているのか、思いを馳せてほしい」と呼びかける。

ともに考える機会を

 団体設立は2021年。当時大学生だった2人の学生が上京を機に、出身地である広島県・長崎県以外の土地でも核問題について議論する場所を設けたいとの思いから立ち上げた。

 設立当初から、核についての国会議員との対話や、米国での核兵器禁止条約の締約国会議への参加など、大学生を中心とした若い世代が積極的に活動してきた。

 同団体は情報発信にも注力。SNSでは活動報告だけでなく「核戦争が起きたら飢餓の危機」「渋谷に核兵器が落とされたら」など、核問題を身近に捉えられるような切り口で投稿している。

 さらに昨年はアートやテクノロジーの作品展示で、核の脅威を可視化する展示会も主催。さまざまな角度から戦争や平和に関心を持つきっかけづくりを模索する。

 本間さんは「まずは自分の好きなことや趣味が、どう社会とつながっているかを考えてみてほしい。それがだんだんと平和を考えることになるはず」と話す。

平和教育の実情

 活動5年目を迎えた現在、メンバーは学生だけでなく社会人も交え、関西や沖縄など多世代・他県に輪を広げている。

 多様化するメンバーの中で、平和教育の実情が浮き彫りになってきた。共同代表の山口雪乃さんによると、出身の長崎県では小学校から中学校まで毎年、被爆者と直接話す機会があり、夏休み中でも核爆弾が投下された8月6日と9日は登校日だという。

 一方で、千葉県出身の井上美樹さんは「被爆者の方から話を聞いたのは小学生の時に1度だけだと思う」と振り返る。井上さんは同団体に入り、平和教育の機会や内容は地域によって差があることを実感したという。「団体として、平和教育をできる場所をつくりたい」と語った。

 戦後80年の今も、核兵器は世界に存在し続けている。さまざまな意見が交わされている一方で、核問題は多くの人にとって非日常的な話題。山口さんは「核が危険な理由や過去に何が起こったのかなどは、関心が向きづらい話題だからこそ、常に情報発信が必要。考えるきっかけをつくり続けます」と意気込んだ。

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

戸塚区・泉区 ローカルニュースの新着記事

戸塚区・泉区 ローカルニュースの記事を検索

コラム

コラム一覧

求人特集

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS