金沢区・磯子区
公開日:2011.09.22
クレマチスの親戚とは思えない
ひげの仙人「センニンソウ」
日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
今盛りのセンニンソウが園芸種のクレマチスと同じ仲間だと考える人は少ないでしょう。どちらもキンポウゲ科のクレマチス属で、カザグルマやボタンヅル等も同属です。センニンソウの花を見ると、4枚の白い花弁状と多数の雄蕊(おしべ)がよく目立ち、芳香を放っています。白い4枚は萼片(がくへん)で、花弁ではありません。キンポウゲ科の植物のほとんどは、花弁はなく目立つ色をした萼片が、花弁の代わりをして虫たちを呼び寄せています。花が咲いた後、白い羽毛状の実をつけ、その様子が「仙人のひげ」に似ているためにこの名があります。
昨年西オーストラリアへ旅した時、公園内でこの花を見つけました。日本の種とは学名が違いますが、よく似ており現地名は「オールドマンズ・ビアード」(おじいさんの顎髭)でした。
またセンニンソウは、つる植物で他のものに巻きつき、自分の体を固定させています。フジやアサガオのようなつる植物は、一般に茎の部分が他のものに巻きついて固定しますが、センニンソウは5枚の葉(羽状複葉)の柄(葉柄)が巻きつくので、珍しい巻きつき方になります。その他にもエンドウやゴーヤのように茎や葉の変形した巻きひげ、ツタのように根の変形した吸盤等いろいろな巻きつき方があります。センニンソウは有毒のためか、別名は「ウシクワズ ウマノハコボレ」。
センニンソウは区内の藪や茂みのある場所なら、どこでも見ることができます。
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