横浜市・給食食物アレルギー マニュアルで誤食防止 金沢区内でも対応食提供
東京都調布市の小学校で昨年12月、乳製品アレルギーのある女子児童がチーズ入りの給食を食べて死亡した。アレルギー疾患がある児童は年々増加しており、横浜市の小学校でも対応に追われている。現場を取材した。
キウイアレルギーがある児童とパイナップルアレルギーがある児童のため、それぞれの食材が除去された杏仁豆腐=写真。これは実際に金沢小学校(坂本昌彦校長)で提供された給食だ。トレーにのせてラップをし、クラス、名前、除去した食材を明記したラベルをつける。横浜市教育委員会が作成したマニュアルに従い、誤食のないよう対応している。
市が行った実態調査では2012年度現在、食物アレルギーがある児童は5264人。10年度には市内で3件の救急搬送があった。市教委は昨年6月、07年に作成された「学校給食における食物アレルギー対応の手引き」を改訂し、「アレルギー疾患の児童生徒対応マニュアル」に、食物以外のアレルギー疾患への対応とともに記載した。市内の公立学校はこれに基づいて給食を提供している。
まず入学時に食物アレルギーの有無を調査。医師から食物アレルギーと診断されれば、担任や栄養士らとの面談が実施される。新たに発症した際は申し出、面談となる。この後、該当食材を除いて調理する除去食、代わりの食材を使用した代替食などの対応食にするか、弁当持参にするかなど対応が決定する。調理のどの段階で除去するか、どの程度なら摂取しても良いか児童ごとに作成したカルテのもと調理。必ず学級担任から児童のもとへ運ばれる。
市はこのほか食材を記載した献立表を配布。どの品にどの食材が使われるか分かるよう明記している。卵にアレルギーがある児童が多いため、鶏卵を使用しないハンバーグやフライを発注するなど工夫をしている。
学校側の負担も大きい。現場からは「一人で複数のアレルギーがある児童が増え、対応に追われている」という声も聞かれる。市教委健康教育課は「転校や新入学時は特に、具体的な対応を学校と相談することが大切」としている。
「定期的な検査が必要」
区内22校の市立小学校のうち、食物アレルギーがある児童は207人(12年度)。金沢小学校では現在6人の児童に対応食を提供している。同校では就学時だけでなく、年に1度アレルギー調査を実施。体質の変化に対応している。アレルギー反応が軽度で対応食を希望しない児童の場合も、該当食材を提供する際に点検を行っているという。
しかし食経験の少ない児童では、給食で初めて口にする食材にアレルギー反応を示す恐れもある。実際、10年度に市内で救急搬送された児童のうち2人も、届け出のない食材からアレルギー反応を起こしている。 同校の栄養教諭、仙田京子さんは食物アレルギー疾患の特徴を指摘。「アレルギーは成長につれ症状が変化する。悪化する場合も、食べられるようになる場合もあるので病院に相談してほしい」と話していた。
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