サファリパークDUO 姉弟ユニット、音で魅せる 障害持ちながら成長
小田中学校3年の野村琴音さんと、小田小学校4年の郷詩くん姉弟が組む、小さなジャズユニット「サファリパークDuo」が11月2日、小田コミュニティハウスで行われた「第63回富岡第一地区 社会を明るくする運動大会」でライブを行った。障害を持つ琴音さんの吹くトランペットと、郷詩くんの奏でるピアノの演奏に会場は拍手に包まれた。
「サファリパークDuoです」と元気良く挨拶する琴音さん。「次の曲は…」と言葉につまると、「『A列車でいこう』です」と郷詩くんがフォローする。
実は琴音さんは特定の場面や場所で言葉を発せられなくなる「場面緘黙(かんもく)症」を患う。そのため学校では一言も話せない。それがライブではMCも務める。この日も2人で13曲を演奏し、人懐っこい笑顔を見せながらアンコールにも応えた。
「困難と思わない」
元打楽器奏者のおさむさん(48)とピアノ教室で教える由美子さん(48)の元に、1349gの未熟児で生まれた琴音さん。知的障害と運動機能の発達に遅れがあり、5歳までは歩けなかった。赤ちゃんの頃から音楽に囲まれて育ち、おさむさんのマリンバを叩いて遊んでいたという。「打楽器をやってくれればと思っていた」と由美子さん。個別支援学級で学んでいた小学5年生の4月、所属した音楽クラブでトランペットを選ぶとは想像もつかなかった。両親と出かけた演奏会で仲良くなったトランペット奏者に憧れていたという。手足の力が弱いため楽器を支えることは容易ではない。当初は少し吹いては休憩の繰り返しだった。
徐々に上達し、ステージにも立つようになった姉の姿に触発され「僕も演奏したい」と郷詩くんが名乗り出たのは2010年3月。小さな手で演奏できるピアノの練習を始め、4月にユニットが誕生。「いつでも素。サファリパークの動物のように自由に動きまわるから」と、その名がついた。
現在までに120以上のイベントや音楽祭でライブをこなしてきた姉弟。「いつも前向き」が琴音さんのモットーだ。「苦労や困難とは一切言わない」と由美子さん。雨の中のライブも「演奏できて楽しかった」と笑うという。
一昨年、小田小学校で行われたコンサート。話せなかった小学校でMCが成功した。今まで琴音さんの声を聞いたことのなかった教師は大号泣。「思い出したら泣けてきちゃった」と琴音さんは涙を滲ませる。場をこなす度に成長を実感している。
来年からは高校生。トランペットを続けていきたい。「全国を回って皆が笑顔になれる演奏をしたい」と満面の笑みを浮かべた。
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