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金沢区・磯子区 人物風土記

公開日:2016.01.14

富岡空襲の惨劇を伝える「横浜・富岡空襲の記憶から未来へ」を作曲した
山崎 栄一さん
金沢総合高校教諭 58歳

教科書にない、地域の音を

 ○…「この土地に暮らす人として、生徒一人ひとりにアイデンティティを持ってほしい」――。地域の民謡や民話をもとに作曲し、吹奏楽部の生徒と演奏し始めて19年。戦後70年の昨年は、富岡空襲の記憶を曲にこめた。現在はその様子をまとめたドキュメンタリー映画を、卒業前の完成を目指して制作している。

 ○…音楽を愛す人になるよう、幼い頃からクラシックを聴いて育てられた。「小学2年ですでに作曲した楽譜が残っている」と笑う。国立音大へ進学し指揮者を目指すも、そこで見たのは「夢は食ってもメシは食えない」現実。ならば、若者が音楽をして、芸術家として活躍できるような基盤をつくろうと教師を志した。

 ○…「日本人として、音楽教諭としてだめだ」。ハンガリー合唱団を招いた20年前のこと。即興で日本の民謡を披露するも、楽譜なしで歌えなかった。同じ頃、沖縄の女子高生が当然のように琉球民謡を歌った姿に衝撃を受けた。「首都圏は民話すら知らない高校生も多い。教科書だけじゃない、地域の伝統を発信すべきではないのか」。川崎市の高校に赴任中、3つの民話をもとに誕生させたのが初作品。以来21曲を高校生と演奏してきた。わらべ歌や伝説を多くモチーフにするが、曲調はあくまで”現代”。「内容を受け止め、今の子どもの言葉で伝えることが大事」。時にはやラップも取り入れる。「自分たちの代の曲が一番好き」――生徒が口々に寄せる言葉が嬉しい。

 ○…新任以来のあだ名は”マッシュ”。当時から同じ髪型を貫く。信念は「生徒の気持ちを絶対に受け止めること」。6年前に教育カウンセラーの資格も取得。否定せず、共に考える。「マッシュの言葉を信じて卒業できた」――卒業が危ぶまれた生徒が書いた手紙は、立ち止まると必ず読み返す。数年後に響く一言もある。「教育に終わりはない。今も子どもに学んでいる」。この先も、子どもや地域と関わり自身も成長していく。

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