40周年を迎えたアトリエ・ドゥ・バレエの主宰者として11月4日に県民ホールで記念公演を行う 木村公香(きみか)さん 港南台在住 74歳
夢をあきらめない心育む
○…声のない世界で全身を使って行う感情表現。だからこそ、バレエは人前で自分をさらけ出さなければならない。しかし、その結果得られる大きな充実感。「出演者全員の一生の記念になるような日になってほしい」。スタジオの開設40周年を記念して行う公演に、指導者として「寝る暇もない」ほど忙しい日々だ。
○…シューベルトの「未完成」を繰り返し聴く幼い姿を見て、「一人一能」を信念に持つ父がバレエ教室に連れて行ったのがバレエとの出会い。小牧バレエ団の一員として活躍後、東京バレエ団の前身となる東京バレエ学校に入学。もう1度バレエを学び、同校専任教師に。ソリストとしても活躍するが、子育てを機に現役引退。バレエへの思いは持ち続け、1972年に洋光台でスタジオを開設、90年に港南台へと移転したが、実の娘で東京バレエ団のプリンシパルとして活躍中の斎藤友佳理さんの「バレエを習いたい」という言葉がきっかけだった。
○…「血みどろになってがけを登りなさい。その上に花園がある。それを見なさい」。挫折したバレリーナに投げかける厳しい言葉。肉体の隅々まで神経を行き渡らせ、感覚を研ぎ澄ますレッスンは妥協とはまったく無縁だ。バレエを習うということは夢をあきらめない心と体を作ること。一方で「うまくできたら抱きしめてあげるの」と微笑む。そんな愛情あふれる姿勢で1000人以上の子どもたちの自信を育んできた。
○…公演で初上演される「冬の贈り物」。友佳理さんが台本から手がけ、振付指導も行う作品だ。少しずつ、指導者へと軸足を移す友佳理さんと「一緒に指導するのは楽しみね」と穏やかに語る。バレエ文化を育成しようと、長年スタジオ外での仕事もこなす。昨年、松山バレエ団から贈られた芸術賞はそういった思いを評価されてのことだ。「私にとってバレエは人生そのもの」。そう断言する情熱はまだまだ衰えそうにない。
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