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港南区・栄区 コラム

公開日:2025.12.25

大久保山 自性院 山本住職
無常の世を苦楽と共に

  • 山本高寛住職

 今年も残すところあと僅かとなりました。皆様にとって、令和七年はどのような一年だったでしょうか。喜びに満ちた日々であった方もいれば、悲しみや困難に直面された方もおられることでしょう。特に昨今は、世界情勢の変化も凄まじく、漠然とした不安を感じておられる方も多いのではないかと存じます。

仏教では、この世界のあらゆる物事は「無常(変化するもの)」であると説きます。頭では「変わらないものなどない」と分かっていても、私たちの心はそうではありません。「平穏な日々がずっと続いてほしい」「大切な人といつまでも一緒に居たい」と願うのは人として自然な感情です。しかし、心の奥底で「変化しないこと」を強く求めれば求めるほど、容赦なく吹き付ける無常の風は、私たちに深い苦しみをもたらします。

 この時、壁となるのが私たち自身の「思い込みに対する執着」です。私たちは楽しさや成功を「幸福」と決めつけて執着し、苦しさや失敗を「不幸」と忌み嫌いますが、この苦楽に対して好悪のレッテルを貼っているのは、私たち自身の心です。

 様々な困難や失敗、苦悩や病といった「苦しみ」であっても、冷静に振り返れば、それらが自身の人間性を深め、他者への理解につながり、身体や心の糧となっていることに気づきます。「楽しみ」も良い面ばかりではありません。自分の楽ばかりに興じていては、心は傲慢になり、身体と心を壊す要因にもなります。このように、冷静に物事を見つめれば様々な側面が見えてくるはずですが、それを妨げているのが「思い込みに対する執着」なのです。

 来る年も、変化の波は絶えず押し寄せることでしょう。しかし、どのような状況にあっても、一時の感情や思い込みに流されることなく、現実を多角的に見つめる心を持つことができれば、そこには必ず新たな道が見えてきます。新しい一年が、皆様にとって心安らかで、実り多き日々となりますよう、心より祈念申し上げます。

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