有人潜水調査船「しんかい6500」の司令として12月6日に丸山台小学校で講演する 櫻井 利明さん 野庭町在住 55歳
深海の世界を切り拓く
○…深度6500mまで潜ることができる有人潜水調査船「しんかい6500」の司令として世界の海を回る。潜航回数は431回を数え、講演会では「知らない人が多い深海の世界を伝えられたら」と意気込む。
○…商船の乗組員だった叔父の影響で、子どものころから「いつか船で世界中の港へ行ってみたい」と強い憧れを抱く。県立三崎水産高校(現・海洋科学高校)へ進学し、就職先を考え始めた頃に偶然手に取ったのが「しんかい2000」運航チームの求人チラシだった。「潜水調査船は、映画の『日本沈没』で観ていたからすぐにピンと来て。みんな潜水艦と思って手に取らなかったみたい」と笑うが、晴れて配属も決まり、1982年に初潜航した。
○…6500は世界の深海調査研究の中核を担っており、研究内容は地球内部のプレートの動きや深海生物の生態調査など多岐にわたる。「多分野の研究者と仕事ができるのも魅力」と話すが、「想定の100%の操縦ができることはほとんどない。80%以上できたときは達成感でいっぱい」というほど難易度の高い役割だ。調査前夜は興奮と操縦のシミュレーションで眠れないこともあるというが、「真っ暗闇の海中で、やっと海底が見えてくる瞬間が1番好き。いよいよ研究が始まる、という緊張感もある」。08年以降は司令として、母船から潜水調査の指揮をするほか、人材育成にも携わる。講演会で有人潜水調査の意義を伝えることは、深海の未来を切り拓く人材の確保にもつながる。「今の子どもたちが大人になるころには、構想中の『しんかい12000』の開発を実現するのが目標」。世界で深海調査の競争が激化する中、次世代船への期待も口にする。
○…年間180日は調査航海で自宅を離れる。「長年海に出て集中して仕事ができているのは、妻が家庭をしっかりと守ってくれるから」。未知の世界への期待と責任を胸に、心強い”母船”から深海に臨む。
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