港南台地域ケアプラザで自然講座「ホタルのふるさと港南台」を開催する 角田 東一さん 港南台在住 73歳
緑を犠牲にしないために
○…港南台に隣接する栄区上郷町の「瀬上沢」には、今なお里山の原風景が残る。その保全PR活動の一環として港南台地域ケアプラザで初めてパネル展を開催している。21日には瀬上沢の自然紹介や環境問題についての講座を開く。「ホタルは1つの環境指標。森やきれいな水がないと生育しない」。今も瀬上沢では、6月初旬からゲンジボタル、ヘイケボタルが見られるが、「昔は窓を開けると家の中に入ってきて、チカチカと寝づらいくらいだった」。
○…瀬上沢を含む上郷地区に大規模宅地開発の話が浮上したのを受け、8年前にNPO法人「ホタルのふるさと瀬上沢基金」を立ち上げた。開発反対の立場で緑地の取得も視野に入れながら、清掃などの活動を通じた瀬上沢の「全面保全」を目指し続けている。「人口が減少していく中で、貴重な緑を犠牲にしてまで宅地を開発する必要性はない。経済的にも、誰も幸せにならない開発」。10万人の反対署名などを経て開発計画は1度却下されたが、近年修正案が出され、再び動向に注目が集まっている。
○…自身の故郷も栄区上郷町。子どものころは野山が遊び場だったが、「本当に田舎で、吉幾三の歌の気分だった」と都会に憧れもした。その後、20代になり仕事で地元を離れていたころ、周辺地域の宅地造成が一気に進んだ。帰郷すると、「あちこちの山の形が変わっていて、自分の家の位置が分からなくなりそうだった」。失ってはじめてその変化に戸惑い、寂しさを感じた。「昔は自然豊かで、緑地なんて無限大だったんだけどね」
○…現役時代は大手電機メーカーで半導体の開発に携わり、夜遅くまで働いた。「定年後はのんびりゴルフや海外旅行を」と考えていた矢先の開発問題だった。山積する行政資料を前に「宿題をたくさん抱えているような状態」と苦笑するが、「感情論では話し合いにならない。理の通った主張でないと」。信念を胸に自然保護の道を模索し続ける。
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