中区吉田町のバー「ノーブル」オーナーの山田高史さん(35)が先月、ポーランド・ワルシャワで開催された世界カクテル大会(WCC)に優勝した。震災から立ち上がる日本の姿をイメージしたオリジナルカクテルで、「世界一のバーテンダー」の称号を手にした。
「復興する日本」カクテルで表現
同大会には、世界中からバーテンダーが参加した。山田さんはクラシック・ファンシー部門に出場。15分の制限時間のなかでオリジナルカクテルを作り上げ、味、香りはもちろん見た目の華やかさ、仕事ぶりなどが審査される。
山田さんは昨年5月の全国大会で優勝し、日本代表に決定。約1年前から出品するカクテルの構想を練ってきた。そうした時、東日本大震災が発生。幸い店に被害はなかったものの、大きなショックを受けたという。そこで山田さんは「震災から復興する日本の姿をカクテルで表現し、世界一になりたい」と決意する。
レシピ作りは苦労の連続だったが、日本を象徴する花である桜(チェリー)をデコレーションにあしらい、ウォッカベースにフルーツジュースなどを加え、自らの目指す「香り高くボリューム感のあるカクテル」が完成。再び美しい日の出が日本に訪れることを願って「グレート・サンライズ」と名づけた。
このカクテルで山田さんはベストネーミング賞、ベストテクニカル賞を受賞、総合でも優勝を果たした。
「日本代表として出場し、日本らしい美しさを認めてもらえたことがうれしい」と笑顔を見せる山田さん。そのバーテンディングは、他の出場者が大きな身振りで「見せる」のとは対照的だ。礼に始まりシンプルで無駄のない動作が続き、再び礼で終わる。こうした動きにたどり着いた背景には、10年以上続けているという空手に加え、今年に入り始めた茶道の影響もあるという。「バーは現代の茶室とも言われますが、無駄を極限まで省いた茶道には私のバーテンディングと通じる考えがあった」と言う。
バーテンダーの地位向上目指す
過去10年にわたって競技会に出場し、日本一、そして世界一まで登り詰めた山田さん。今後は「バーテンダーという仕事をより社会に知ってもらう」ことが目標だ。その一歩として今年3月には株式会社を設立。商品開発やコンサルティング、バーテンダーの派遣事業などに乗り出した。すでに香港の高級ホテルからドリンクメニューの提案を依頼されるなど、その活躍は国境を越えたものになりつつある。
「おじいさんになってもカウンターに立っていたい。実はそれが究極の夢なんです」とはにかむ山田さん。その夢のためにも、業界のトップランナーとして走り続ける。
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