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公開日:2011.12.22

「和の心」でバーテンダー世界一をつかむ
吉田町バー「ノーブル」オーナー 山田高史さん

  • 世界大会でパフォーマンスする山田さん

  • 大会で発表したオリジナルカクテル「グレート・サンライズ」。日本を象徴する桜(チェリー)をデコレーションにあしらうなど震災から復興し再び日の出を迎える日本をイメージした

 中区吉田町のバー「ノーブル」オーナーの山田高史さん(35)が先月、ポーランド・ワルシャワで開催された世界カクテル大会(WCC)に優勝した。震災から立ち上がる日本の姿をイメージしたオリジナルカクテルで、「世界一のバーテンダー」の称号を手にした。



「復興する日本」カクテルで表現



 同大会には、世界中からバーテンダーが参加した。山田さんはクラシック・ファンシー部門に出場。15分の制限時間のなかでオリジナルカクテルを作り上げ、味、香りはもちろん見た目の華やかさ、仕事ぶりなどが審査される。



 山田さんは昨年5月の全国大会で優勝し、日本代表に決定。約1年前から出品するカクテルの構想を練ってきた。そうした時、東日本大震災が発生。幸い店に被害はなかったものの、大きなショックを受けたという。そこで山田さんは「震災から復興する日本の姿をカクテルで表現し、世界一になりたい」と決意する。



 レシピ作りは苦労の連続だったが、日本を象徴する花である桜(チェリー)をデコレーションにあしらい、ウォッカベースにフルーツジュースなどを加え、自らの目指す「香り高くボリューム感のあるカクテル」が完成。再び美しい日の出が日本に訪れることを願って「グレート・サンライズ」と名づけた。



 このカクテルで山田さんはベストネーミング賞、ベストテクニカル賞を受賞、総合でも優勝を果たした。



 「日本代表として出場し、日本らしい美しさを認めてもらえたことがうれしい」と笑顔を見せる山田さん。そのバーテンディングは、他の出場者が大きな身振りで「見せる」のとは対照的だ。礼に始まりシンプルで無駄のない動作が続き、再び礼で終わる。こうした動きにたどり着いた背景には、10年以上続けているという空手に加え、今年に入り始めた茶道の影響もあるという。「バーは現代の茶室とも言われますが、無駄を極限まで省いた茶道には私のバーテンディングと通じる考えがあった」と言う。



バーテンダーの地位向上目指す



 過去10年にわたって競技会に出場し、日本一、そして世界一まで登り詰めた山田さん。今後は「バーテンダーという仕事をより社会に知ってもらう」ことが目標だ。その一歩として今年3月には株式会社を設立。商品開発やコンサルティング、バーテンダーの派遣事業などに乗り出した。すでに香港の高級ホテルからドリンクメニューの提案を依頼されるなど、その活躍は国境を越えたものになりつつある。



 「おじいさんになってもカウンターに立っていたい。実はそれが究極の夢なんです」とはにかむ山田さん。その夢のためにも、業界のトップランナーとして走り続ける。

 

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